PCOS女性の食事パターンと妊娠率

生活習慣・食事・サプリメント

2017年06月10日

Reprod Biol Online 2017; 34: 668

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)女性では健康的な食事パターン度が強いほど、高アンドロゲン血症が少なくなり、健康的な食事パターン度が弱い女性に比べて妊娠のチャンスが3倍高く、AMH値も低いことがオランダで実施された試験で明らかになりました。

エラスムス医科大学の研究グループは、食事パターンのPCOS女性の病態のあらわれ方や重症度への影響を調べることを目的に、2010年10月から2012年10月迄、オランダのロッテルダムのエラスムス大学病院でPCOSと診断された女性を対象とした研究を実施しました。

食事パターンは食事摂取頻度調査表を使い、過去4週間の196種類の食品の摂取量や頻度を回答してもらい、統計的な手法を用いて健康的な食事パターン度と不健康な食事パターン度を解析し、高アンドロゲン血症やAMH値、妊娠の成立(2015年11月迄)との関係を調べました。

尚、健康的な食事パターンとは、野菜やシリアル、豆を多く食べ、脂肪や肉、スナック菓子、卵、アルコールが少ない食べ方で、不健康な食事パターンとは、精製穀物、液体脂、マーガリン、ソース、スナック菓子、砂糖を多く食べ、果物や全粒穀物、スープ、乳製品、ナッツ、魚が少ない食べ方としました。

健康的な食事パターン度が強い女性は、高アンドロゲン血症(25名)では32%の8名、非高アンドロゲン血症(30名)では63.3%の19名と、非高アンドロゲン血症に多く、総エネルギー摂取量やBMI、年齢などの影響を調整した結果、強い健康的な食事パターン度は高アンドロゲン血症と有意に負の相関を示しました。

また、AMH値の中央値は健康的な食事パターン度が高い女性よりも低い女性のほうが高く、そして、総エネルギー摂取量やBMI、年齢を調整した結果、健康的な食事パターン度とAMH値は有意に負の相関を示しました。

そして、研究期間内に妊娠に至った女性は健康的な食事パターン度が強い女性のほうが多く、健康的な食生活パターン度が強いPCOS女性は弱い女性に比べて妊娠に至る確率が3倍だったことがわかりました。ただし、年齢とBMIを加えて調整すると有意な差はみられなくなりました。

これらの結果から、食生活はPCOSの女性のアンドロゲンやAMHレベル、そして、妊娠しやすさに影響を及ぼすことがわかりました。


コメント

PCOSの診断基準は、小さな卵胞がたくさんみられる状態の卵巣(多嚢胞性卵巣)であることに加えて、排卵しづらい、あるいは、排卵しないという月経異常を伴うこと、そして、血中男性ホルモン値が高い、または、LH(黄体化ホルモン)値が高いこと、この3つをすべて満たすことされています。

多嚢胞性卵巣症候群と呼ばれることからも、その病態や程度は一様ではありません。海外では肥満を伴う場合が多いと言われていますが、日本ではむしろ肥満のPCOS女性は少数派のようです。また、アンドロゲンが高い場合もあれば、そうでない場合もあり、インスリン抵抗性が伴う場合もあれば伴わない場合もあります。

排卵障害や無排卵が不妊症の原因になりますが、その程度もさまざまです。

このように同じPCOSと診断されても、そのあらわれ方や程度がさまざまなのは、遺伝的な要因と環境的な要因が相互に影響するためではないかと考えられています。

そして、環境的な要因の1つに生活習慣があります。

つまり、遺伝的な要因をもっていても、すなわち、PCOSを発症しやすい遺伝子傾向をもっていても、生活習慣によって、発症するかどうか、また、発症したとしてもその程度が異なるというわけです。

そこで、オランダのエラスムス医科大学の研究グループはPCOSの女性の食事パターンの違いがPCOSのあらわれ方や妊娠しやすさに影響するのかを調べました。

その結果は、同じPCOSと診断されても、健康的な食べ方をしている女性は高アンドロゲンになりにくく、AMHも高くなりすぎず、そして、妊娠に至るチャンスも大きかったというものです。

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