つわりと流産の関係

その他

2016年10月02日

JAMA Internal Medicine online first

つわり(妊娠中の吐き気や嘔吐)があると流産しにくいことがアメリカの研究で明らかになりました。

米国立小児保健発達研究所の研究者らは、2007年6月から2011年7月まで妊娠前からの低用量アスピリン服用の妊娠に対する効果を調べた研究(EAGeR研究)に参加した、過去に1回、もしくは、2回の流産経験のある女性を対象にした二次解析を行いました。

二次解析では、対象者をhcgテストによる陽性反応で妊娠が確認された797名の女性に限定し、吐き気や嘔吐と流産の関連を調べました。吐き気や嘔吐の有無は妊娠2-8週は妊娠前からの妊娠日誌で、12-36週までは毎月の質問票で確認しました。

その結果、188例(23.6%)が流産(化学的流産が55例、臨床的流産133例)し、妊娠2週時点では409名中の73名が日に吐き気(日に1回以上)があり、11名は吐き気と嘔吐がありました。8週には443名中の254名が吐き気のみ、118名が吐き気と嘔吐がありました。

そして、流産のリスクは吐き気だけのつわりがあった人はつわりがなかった人に比べて流産のリスクは50%(HR:0.50; 95% CI,0.32-0.80)、吐き気と嘔吐のつわりがあった人はなかった人に比べて75%(0.25; 95% CI, 0.12-0.51)、それぞれ、低いことがわかりました。

また、化学的流産では吐き気だけのつわりがあった人はつわりがなかった人に比べて流産のリスクは41%(0.59; 95% CI, 0.29-1.20)、吐き気と嘔吐のつわりがあった人はなかった人に比べて49%(0.44; 95% CI, 0.11-0.2.25)、それぞれ、低かったものの統計学的な差ではありませんでした。

このことから、過去に1回、2回の流産経験のある女性にとって、つわりがあることは流産のリスクが低いことがわかりました。

コメント

つわりがあれば、その後、流産しにくいという研究報告はこれまでもいくつもなされています。

ところが、今回の研究は、妊娠希望の女性を対象に、妊娠前からスタートした前向き研究であることから、着床から臨床的な妊娠判定がなされるまでの超初期の「化学的流産」も含めたデータであること、また、妊娠9週までは妊娠前からの妊娠日誌で、それ以降は毎月の質問票で、つわりの有無とその頻度を記録していることから、従来の後ろ向き研究で記憶に頼った方法よりも精度が高いと考えられることから、これまでで最も信頼できる結果であるとしています。

つわりが流産のリスク低下に関連する原因として考えられるのは、妊娠すると炭水化物が豊富な食べ物を多く食べるようになったり、催奇形性のリスクのある物質を避けたりする個体が進化的に有利であったためではないかというもの、また、多胎やトリソミー21で上昇することが知られているhcgの影響ではないかとしていますが、いずれも、今回、喫煙やアルコール、カフェイン摂取、ストレス、さらには、多胎や染色体異常の因子を調整した後でも関連がみられたことから、そのようなことが原因ではないのかもしれないとしています。

つわりは大変辛いと聞きますが、吐き気だけでなく、嘔吐も伴うつわりほど、その後の流産のリスクが低くなります。