体外受精に臨む女性へのヨガのストレス低減効果

ストレス

2015年06月12日

Reproductive BioMedicine Online

体外受精に臨む女性にとってヨガを中心とするプログラムの受講は不安や気持ちの落ち込み、生活の質を改善する効果があることがカナダで実施された試験で明らかになりました。

モントリオールのマクギル大学産婦人科の研究チームは、体外受精の順番待ちの女性49名(平均年齢35.7歳、平均不妊期間3.7年)を対象に6週間のヨガを中心としたプログラムに参加してもらい、受講前後の生活の質やパートナーとの関係の満足度、不安やうつレベルを比較しました。

2時間のプログラムを週に1回、内容は呼吸法15分、さまざまなテーマでの話し合いを40分、ヨガのポーズを55分、そして、漸進的筋弛緩法(リラクゼーション法)を10分というもので、6週間(12時間)のプログラムの受講前と受講後に、FertiQoL(不妊に関する生活の質についてのアンケート調査票)やDAS(パートナーとの関係満足度調査票)、STAI(不安レベル調査票)、BDI(ベックうつ病調査票)に答えてもらいました。

その結果、不妊に関する生活の質の平均のトータルスコアは受講前が55.4だったのが64.7に有意に上昇、感情面のスコアも52.1から58.8に、心と身体の生活の質のスコアも55.6から62.5に、ぞれぞれ上昇しました。ただし、関係性や社会性のスコアには有意差はみられませんでした。

また、気持ちの落ち込みスコアは7.77から5.25に、不安レベルも46.7から42.8に、それぞれ、有意に改善されましたが、パートナーの関係満足度には有意な差はみられませんでした。

このことから、体外受精に臨む前の女性にとってヨガを中心としたプログラムは不妊に関する生活の質や気持ちの落ち込み、不安レベルを改善する効果があることがわかりました。

コメント

不妊治療にはストレスが伴うことから、治療に臨む際のストレス対策はとても重要です。

今回の研究報告はヨガが有効な方法になり得ることを明らかにしています。

ただし、ヨガといっても、ヨガのポーズをとるだけでなく、呼吸法や話し合い、そして、漸進的筋弛緩法というリラクゼーション法で構成されています。

そして、2時間のプログラムを週に1回を6回です。

つまり、ヨガ(のポーズをとること)をマスターすることが目的ではなく、知識の習得も含めたリラクゼーションプログラムです。

考えてみれば、不妊治療は長期化することが珍しくありません。

そして、予期せぬ心の乱れも含めれ、ストレスをなくしてしまうことは困難です。

大切なことは、その間、ストレスから逃げたり、発散させたりすることではなく、ストレスとうまく付き合い、たんたんと治療に臨むことではないでしょうか。

そのためには受け身で誰かに頼ってリラックスさせてもらうのではなく、自分で自分をリラックス状態にさせる術を身につけることです。

その方法として、ヨガを取り入れたリラクゼーション法が最適ではないかと思います。

ストレスが治療成績に及ぼす影響についてはさまざまな研究結果があり、専門家の間でもさまざまな意見があります。

長い歴史で証明されているヨガのエッセンスを取り入れたリラクゼーション法は妊娠率を高めるというよりも、いい状態で治療に臨むための手段と捉えるべきだと、私たちは考えています。

そのためのヨガセラピーとして、ヨガのエッセンスを取り入れたリラクゼーション法を身につけることを目的とした「リラックスヨガ」を運営しています。

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