育毛剤の精子への影響

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2013年09月14日

Fertility and Sterility

男性型脱毛症の治療薬「フィナステリド(商品名:プロペシア)」は精子数を減少させ、男性不妊の原因になり得るが、服用を中止すると精子数が増えることがアメリカで実施された試験で明らかになりました。

2008年から2012年の間にアメリカのマウントサイナイ病院の男性不妊外来で精液検査を受けた男性4,400名の内、27名が男性型脱毛症の治療薬「フィナステリド」を服用しており、その内、服用前後に精液検査を実施した男性14名の服用前後の精液検査の結果を比較しました。

その結果、服用を中止後の精子濃度は平均、11.6倍に増加したことがわかりました。

精子濃度別にみると、服用中の精子濃度が500万/ml以下の高度乏精子症の男性は服用中止後は精子濃度が15.9倍に、軽度乏精子症(500万~1,500万/ml)の男性は服用中止後は13.6倍に、正常(1,500万/ml)の男性は3.14倍に、それぞれ、増加し、精子濃度が低い男性ほど服用中止後の増加率が高かったことがわかりました。

精子運動率や正常精子形態率には変化は見られませんでした。

このことから、育毛剤「フィナステリド」は、たとえ、少量(1mg)でも、精子濃度を低下させるものの、服用を中止すれば劇的に改善されることがわかりました。

お子さんを望む男性で、フィナステリドを服用している男性は服用を中止すべきであるとしています。

コメント

男性型脱毛症の治療薬には「ミノキシジル」と「フィナステリド」があって、精子の数が減少するおそれのあるのは男性ホルモンに関係する「フィナステリド」で、「ミノキシジル」は問題ないようです。

フィナステリドは、前立腺肥大症の治療の為に開発された薬で、服用していた患者の中に、思いもよらず、毛髪が濃くなったことから、育毛に効果的であるということがわかったというお薬だそうです。

男性型脱毛症は、「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンから変換される物質が原因であると考えられていて、この物質が男性ホルモンから変換されるには「5α‐リラクターゼ」という還元酵素が働く必要があります。

この還元酵素「5α‐リラクターゼ」の働きを阻害するのがフィナステリドなのです。

そのため、フィナステリドを服用すれば、男性ホルモンがDHTに変換を抑制することから男性型脱毛症の進行を遅らせる一方、精巣の機能を低下させ、精子の数が少なくなったり、射精できなくなったり、性欲が減退するなどの副作用が伴います。