高たんぱく、低糖質食は妊娠する力に影響する

生活習慣・食事・サプリメント

2013年06月05日

the Annual Clinical Meeting of The American College of Obstetricians and Gynecologists

たんぱく質が多く、炭水化物を控え目にした食生活は妊孕性(妊娠する力)を高めるとの研究報告がアメリカ産婦人科学会学術総会で発表されました。

デラウェア州の生殖医療専門クリニック「The Delaware Institute for Reproductive Medicine」に2010年1月から2011年12月まで体外受精を受けた女性120名を対象に、治療をスタートする前に3日間の食事記録をつけてもらい、その後の治療成績との関連を調べました。

その結果、たんぱく質のエネルギー比率が25%以上(高たんぱく食)の女性は48名、25%以下(低たんぱく食)の女性は72名でした。

そして、高たんぱく食の女性の胚盤胞到達率は54.3%だったのに対して、低たんぱく食では38%でした。また、高たんぱく食の女性の妊娠率は66.6%だったのに対して、低たんぱく食の女性では31.9%と、治療成績はいずれも高たんぱく食のほうが良好でした。

さらに、高たんぱく食(25%以上)の中でも低炭水化物(40%以下)食の女性は、妊娠率が80%とさらに良好でした。

このことから研究チームのドクターは、体外受精の治療周期がはじまる3か月前から、高たんぱく(25~30%)、低炭水化物(40%以下)食を心掛けるように患者に指導しているとのことです。

コメント

食事のバランスが体外受精の治療成績と関連するという研究報告はこれまでもいくつかありますが、今回のアメリカの不妊専門クリニックがアメリカ産婦人科学会で発表したのは、三大栄養素のうち、たんぱく質と炭水化物の食べる量と割合が、体外受精の治療成績と関連するというものです。

そもそも、研究チームが食生活と体外受精の治療成績との関連を調べてみようと考えたのは、それまで、肥満でも、やせ過ぎでもなく、BMI(体格指数)が適正で、健康なのにもかかわらず、体外受精でなかなか結果が伴わない患者さんが多くいたことだったそうです。

研究に携わったドクターが推奨しているのは、たんぱく質が25~30%、炭水化物が40%以下というものです。厚生労働省の「食事摂取基準(2010年版)」では、30~40代の女性の目標として、たんぱく質が9~20%、炭水化物が50~70%ですから、相当、ご飯やパン、パスタなどの炭水化物を減らし、肉や魚、大豆などを増やすことになります。

アメリカ人女性と日本人女性の食生活は同じではないことを考慮に入れる必要はあると思いますが、不妊患者さんに糖負荷試験を実施すると糖の代謝異常があって、高血糖で糖尿病予備軍の女性が多いという印象をもっているドクターが少なくありません。

また、高血糖は生殖ホルモンのバランスを悪化させ、排卵障害や卵質低下を招くことがあると言われていますので、炭水化物の摂り過ぎは妊娠には不利になります。

一方、たんぱく質は新しい命の材料になるだけでなく、生殖活動を営むための体内の代謝を進める酵素やホルモンの材料にもなり、妊娠する力を維持するためには重要で必須の栄養素です。そのため、肉や魚の食べる頻度や量が少なく、低たんぱく食は妊娠する力を低下させてしまうことも容易に想像できます。

もちろん、極端な糖質制限をする必要はないと思いますが、厚労省と農水省が作成した「食事バランスガイド」で推奨されている量よりも高たんぱく、低炭水化物にしてみるといいかもしれません。

また、単に食べる量だけでなく、血糖値の急上昇を避けるために、精製度の低い炭水化物を選んだり、砂糖入りの清涼飲料水をやめたり、食事の際には食物繊維の豊富な野菜から食べることを心掛けることも大切だと思います。