血液中のビスフェノールA濃度と体外受精の治療成績との関係

妊孕性に影響する因子

2010年12月20日

Fertility and Sterility

化学物質のビスフェノールAの血中濃度が高い女性ほど、体外受精の際の受精率が低いことが、アメリカで実施された試験で確かめられました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校生殖医療センターで、初めての体外受精を受けた女性26名の血中のビスフェノールA濃度と受精率の関係を調べました。

その結果、ビスフェノールA濃度が高い女性ほど受精率が低く、血中濃度が2倍になると正常に受精する卵子の割合が50%低くなることが分かりました。

このことから研究チームはビスフェノールAの影響が懸念されるとしながらも、小規模な試験であることからさらなる研究が必要であると結論づけています。

コメント

ビスフェノールとは食品の容器などに使用されている化学物質のことで、以前から環境ホルモンとしてさまざまな健康への悪影響を指摘されている有害物質です。

ポリカーボネート、エポキシ樹脂と呼ばれるプラスチックの原料として使用されていますが、食器や食品の容器などにも使用されていることから食事を通して微量が体内に取り込まれているとされます。

動物を使った試験で環境ホルモンとして働くため生殖機能が低下することが確かめられたことから、人間への影響が懸念されてました。

今回の試験はビスフェノールAの人間の生殖機能への影響を調べた初めての試験です。

研究チームが指摘している通り、明確なことは分かりませんが、ビスフェノールAが溶け出すことが懸念されている缶詰食品や飲料を、摂り過ぎないように注意したほうがいいかもしれません。