AID(非配偶者間人工授精)年齢別累積妊娠率

不妊改善・生殖医療関連

2009年07月16日

Human Reproduction

重度の男性不妊やレズビアンカップルに実施されたAID(非配偶者間人工授精)の、母親になる女性の年齢層や不妊の(AIDを受ける)原因、そして、排卵誘発剤の使用の有無別の累積治療成績が発表されました。

ベルギーとカナダの研究チームは、AIDを受けた1654名の女性の6630周期を対象に治療成績を算出しました。

その結果、12周期までに928名の女性が出産に至り、周期あたりの出産率は14%でした。

12周期の累積出産率は77%で、年齢層別では、20~29歳では87%、30~34歳では77%、35~37歳では76%、38~39歳では66%、そして、40~45歳では52%でした。

また、治療を受けるようになった理由や排卵誘発剤の使用の有無による治療成績の大きな違いは、確認できなかったとしています。

コメント

顕微授精が一般的になったこと、無精子症の男性への精巣内の精子の採取技術が向上したこで、AID(非配偶者間人工授精)は、年々、減少傾向にあります。

今回に報告は、AID云々ということではなく、人工授精という治療法の有用性について大変参考になると思われます。

まずは、人工授精でクリアできる不妊原因である限り、12周期まで繰り返し実施することで8割近くが出産まで至ることができるということ。

つまり、人工授精で解決できない不妊原因がなければ、回数を繰り返すことで、かなりの確率で妊娠、出産できるということです。

また、当然、母親になる女性の年齢が高くなるに従って、出産率も低下していきますが、30代後半でも12周期でみれば、高い確率で妊娠、出産に至ることができるということ。つまり、人工授精で解決できない不妊原因がなければ、30代後半でもかなりの確率で妊娠、出産が期待できるということです。

ただし、研究チームは、治療を勧められる年齢は42歳までとしています。

そして、人工授精においては、排卵が正常にあれば、排卵誘発剤の使用は治療成績に影響しないということ。

つまり、人工授精においては、排卵があれば、排卵誘発剤の使用はあまり意味がないということです。