クロミフェン+ビタミンEで乏精子症が改善される

男性不妊治療方法

2009年04月07日

Fertility and Sterility

抗エストロゲン作用のあるクロミフェンと抗酸化作用のあるビタミンEの摂取は、原因不明の乏精子症の男性の精子数や妊娠率を高めることが、エジプトで実施されたランダム化比較試験で確かめられました。

エジプトのカイロ大学の研究チームは、60名の原因不明の乏精子症の男性不妊患者(平均年齢31.8歳)を2つのグループに分けて、一方のグループ(30名)にはクロミフェン(20mg/day)とビタミンE(400mg/day)を、もう一方のグループ(30名)には偽薬を、半年間、摂取させました。

試験の終了までに、クロミフェン+ビタミンEのグループの37%の男性のパートナーが妊娠、偽薬を与えられたグループでは13%の男性のパートナーが妊娠しました。

それらの妊娠のほとんどは、試験開始後、3~6ヶ月の間のことでした。

また、精子数についても、クロミフェン+ビタミンEを摂取したグループの男性のほうが、偽薬を摂取したグループの男性よりも増加した割合が高かったとのこと。

これにより、抗エストロゲン作用のあるクロミフェンと抗酸化物質のビタミンEの組み合わせは、乏精子症を改善させるのではないかとしています。

コメント

乏精子症の男性不妊に対してのホルモン療法として、飲み薬の排卵誘発剤として最もポピュラーな抗エストロゲン薬であるクロミフェンが使われています。

ただし、これまでの報告では、その有効性について、エビデンス(証拠)とよばれるまでには至っていないようです。

つまり、改善されることもあれば、改善されないこともあるということで、決定的な治療法ではないということで、試す価値はありそうだといったところでしょうか。

男性の妊娠させる力は、さまざまな要因の影響を受けやすいためか、なかなか、決定的な治療法が存在しません。

今回の報告は、クロミフェンに抗酸化ビタミンであるビタミンEを併用したものです。

これまでも、抗酸化作用を高めることで、精子数が改善されるとの報告が多くなされていますが、組み合わせることでより有効性が高まるのかもしれません。