生涯不妊率や不妊治療の受診率等の統計結果が発表さる(イギリス)

その他

2007年11月28日

Human Reproduction

イギリスのUniversity of Hertfordshireの研究者らは、不妊に悩む夫婦や不妊治療を受ける夫婦がどくらいいるのかを調査すため、人口統計学的に類似のイギリス人女性へのアンケートを実施しました。

2001年の選挙人名簿から無作為に抽出した60,000人以上の女性で、55歳以下で、それまでに妊娠、または、妊娠を望んでトライした経験のある6,584人の女性の結果を分析しました。

・生涯不妊(望んだにもかかわらず妊娠できなかった)の割合について

40~55歳の女性の生涯不妊の割合は2.4%で、妊娠経験はあるけれども、結局、1人の子どもも産めなかった女性は1.9%でした。

・不妊治療について

医師に不妊について相談したことがある女性は16%、不妊治療を受けたことがある女性は8%でした。そして、不妊治療で1人以上の子どもを妊娠、出産した女性は4.2%でした。

・20年前との比較

20年の変化を調べるために、1960年~1962年に生まれた女性のアンケート結果と、1940年~1945年に生まれた女性のそれとを比較しました。

医師に不妊について相談したことがある女性の割合は、1960年~1962年に生まれた女性では18%だったのに対して、1940年~1945年に生まれた女性では13%でした。

同様に、不妊治療を受けたことがある女性の割合は、それぞれ、9%、6%で、不妊治療で1人以上の子どもを妊娠、出産した女性の割合は、それぞれ、6.7%、2.7%でした。

また、医師に不妊についての相談にいった年齢は、1960年~1962年に生まれた女性のほうが、1940年~1945年に生まれた女性よりも高齢化していました。

これらの結果から、不妊治療を受けたことがある女性の割合も不妊治療で妊娠、出産したことがある女性の割合も、いずれも増加傾向にあるものの、過去15年間に不妊が増加していることを証明するデータはないとしています。

そして、40~55歳のほとんどの女性は、妊娠しづらい期間を経験したとしても、ほとんどの女性は最終的に1人以上の子どもを授かっているとの見解を示しています。

コメント

高度な不妊治療の実施数やその治療成績、そして、それによって生まれた子どもの数などは、毎年、調査データが公表されていますが、不妊に関する全体の傾向などは、なかなか、知ることが出来ません。

そういう意味からも、大変興味深い調査データが発表されました。

不妊に悩み、病院に相談にいったことがある女性は100人中16人の割合です。

ただし、相談に行ったからといって、必ずしも、全員が治療を受けていないようで、そのうち、治療を受けたのは半数の女性とのこと。

さらに、治療でお子さんを授かったのは、そのまた半数のようです。

そして、治療を受けないで、また、治療を受けたにもかかわらず、最終的にお子さんに恵まれなかった女性は100人中、2名か3名だったとのことです。

また、この20年前との比較の結果から、この研究のリーダーであるLaura Oakleyは、過去と現代を比べたデータからの傾向をみてみると、不妊治療の技術が発達し、治療で出生した子どもが増加するにしたがって、生殖医療技術をあてにして、子づくりを後ろ倒ししていること、また、不必要な不妊治療もまた増加していることも考えられると指摘しています。