ミトコンドリアの異常が男性不妊の原因になる可能性

男性不妊の背景にある病気

2006年10月03日

毎日新聞

精子のミトコンドリアの異常が男性不妊の原因になることを、筑波大学などの研究チームが、マウスの実験で明らかにしました。

ヒトの不妊男性の精子でも同様の突然変異が見つかっており、ミトコンドリアの異常がヒトの男性不妊の原因になっている可能性が高まったとしています。

ミトコンドリアは、細胞内で、活動に必要なエネルギーを産生しているところとして知られています。

研究チームは、ミトコンドリアに突然変異をもつオスのマウスを作ったところ、子供が一匹も生まれず、その精子の数は、健康なオスのマウスの5%程度で、受精に必要な運動能力もなかったようです。

分析の結果、ミトコンドリア変異マウスは、エネルギー産生に欠かせない酵素が作られなくなっていることが判明しました。

コメント

細胞の中で、エネルギーを作り出しているのがミトコンドリアという小器官で、よく、細胞内の発電所にたとえられます。

精子のミトコンドリアで産生されるATP( アデノシン三リン酸)は、精子が運動する際に不可欠なエネルギーになることから、突然変異によって、このエネルギー源をつくるために必要な酵素が作られなくなって、精子の運動能力が著しく低下するというわけです。

男性不妊と一口に言っても、その原因や程度はさまざまです。

精子の状態が受精させるレベルにない場合、根治療法が困難なケースであっても、現状の精子を顕微授精させて、妊娠を目指す方法が一般的になりました。

ただし、今回の研究結果から、男性不妊の根治療法が開発されれば、治療方針は大きく変わるかもしれません。

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