40歳以上の体外受精の治療成績

妊孕性に影響する因子

2005年08月24日

Fertility and Sterility Aug. 2005 Vol.84 P.435-445

ハーバードメディカルスクールの研究チームは、母親となる女性の年齢が40歳以降の体外受精の治療成績の推移を調査しました。

アメリカのマサチューセッツ州のボストンIVFクリニックで、1999年から2002年の間に体外受精を受けた40歳から48.8歳までの女性、1263人の2705治療周期の治療成績を調査しています。

それによりますと、出産に至った確率は、40歳では13.9%、41歳では9.7%、42歳では9.2%、43歳では7.6%となっています。

そして、44歳以降の低下が急で、44歳では2.6%、45歳では1.9%で、46歳以上では0%となっています。

調査に携った研究者は、報道機関への取材に対して、「卵巣に力があって、質の良い卵子が育つ人以外は、自分の受精卵での治療は42歳までにして、43歳以降は提供の提供を受けるか、養子を考えるべきである」との見解を述べています。

コメント

2002年のアメリカのCDCによる全国の不妊治療施設の治療成績でも、出産に至った割合として、40歳では16.1%、41歳では12.1%、42歳では9.0%、そして、43歳では6.3%、44歳以降では2.0%となっており、44歳以降の低下が急で今回の調査結果を同様の傾向を示しています。

不妊治療の成績を左右する要因として最も大きいのは、母親となる女性の年齢がであることはよく知られていますが、それでは、果たして、何歳くらいまで妊娠可能なのかが気になるところです。

日本では残念ながら、アメリカのような全体の治療成績の統計は調査、公表されていませんので、このような数値は大変参考になります。

単に、年をとると治療成績が下がるという傾向だけでなしに、このような1歳ごとの治療成績の数値を知ることが大変大切なことのように思います。

ただし、研究者も指摘しているように、卵巣の反応力(排卵誘発剤の効き具合)には個人差が大きいことも事実です。

全体の数字を参考にしながらも、自分の状況を主治医に確認し、冷静に、判断する必要があります。