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高度生殖補助医療のリスクを改めて懸念

イギリス政府の不妊治療の監視機構は、体外受精が始まって4分の1世紀が経過した今、
改めて、体外受精による影響を長期に渡って調査する必要性を認めています。
専門家は、近年、不妊治療が急速に発展しているにもかかわらず、
その長期間に渡る安全性を確認する調査研究が伴っていないと警告しています。
体外受精によって生まれた子供には、遺伝病や行動障害、身体の障害等、
将来に問題が発生するようなリスクを抱えている可能性が高いのではないかと指摘しています。

ところが、普通は体外受精で生まれたということは滅多に公にはしないため、
イギリスの不妊治療の監視機構であるHFEAは、
体外受精によって生まれた子供の長期的な追跡調査はこれまで困難でした。

世界最大の生殖医療の学術会議であるアメリカ生殖医学会の年次総会が先週開催され、
そこで、体外受精で生まれた子供は、遺伝病や行動障害、身体障害にかかるリスクが高いことを示唆する
調査研究が小規模なものではありますが、発表されました。

HFEAは、高度生殖医療を実施する施設の治療記録の国への登記させるように、
法律改正を要求しています。
全ての治療の詳細と治療によって生まれた子供の健康状態を匿名で調査と分析のために、
提供させるのです。
このような登記は、世界でも初めてのことで、
これによって、自然妊娠で生まれた子供と比べて、
体外受精によって生まれた子供の決定的な状況が分かるようになるでしょう。
HFEAでは、このデータベースが、妊娠してから生涯を通じての追跡調査が、
最も適切な方法であるとしています。
現時点では、プライバシーの保護という観点から、
HFEAでは、データを施設から提供させることは出来ません。
たとえ、政府の監査局と言えどもクリニックの治療の結果を監査することは出来ません。
体外受精は安全であろうし、
この治療法を認可する際にその時点で可能な限りの調査はしているものの、
大きな規模の調査によって、
明確なものがつかめるまではなんとも言えません。
データベースは、国家中央がん登録(National Cancer Registry)と同じで、
予防や治療、病気に伴うリスクについての詳細をつかむことが出来るようになるでしょう。

“試験管ベイビー”として知られている、1978年に世界で初めてのルイ−ズブラウンさん以来、
100万人以上の子供が体外受精によって生まれていて、
イギリスでは毎年、不妊治療によって約6000人の赤ちゃんが生まれています。

ところが、近年、新しい技術による体外受精によって生まれた子供の長期の影響に関して、
懸念が高まっています。
最も議論の絶えない治療の一つは顕微授精(ICSI)で、1個の精子を選び、卵子に直接注入する技術です。
高い妊娠率で、男性不妊の最後のとりでと言われています。
ところが、胚にダメージを与えることから、
遺伝病にかかるリスクが高まるのではないかという懸念があります。
ある調査では、顕微授精によって生まれた子供は、
自然妊娠で生まれた子供に比べて、
奇形になる確率が9.5%高まると結論づけています。

また、ある病気が遺伝しないように予め胚を検査、選択してから、
子宮に移植する 着床前診断(PGD)もまた、いろいろ物議をかもしています。
確かに子供に病気が遺伝することを防ぐことが出来るようになるのですが、
男女の産み分けという社会的なニーズに利用可能です。
さらに、不妊治療での凍結精子や卵子の利用も議論の多い技術と言えます。

イギリスの不妊治療の第一人者であるロードウィンストンは、
調査が不十分なままに次々に新しい技術を導入することに懐疑的な1人です。
昨年の会議では、「これらの治療を全て中止しろと言うつもちはありません。
問題は、調査自体が、本来行なわれるべきところではなく、
実験室で実施されているということです。
初期の体外受精に冠する報告は異常をきたす確率という観点からは、
概ね心配するようなものではありませんでしたが、
今では、治療の方法によっては、ある状況のもとではきわめて危険であることえお示すデータが、
数多く発表されるようになっています。

■出典: 「Independent News 2004/10/24」
http://news.independent.co.uk/uk/health_medical/story.jsp?story=575475

     

[解説]
アメリカ生殖学会での報告やアメリカ生殖協会の調査からも、
体外受精で生まれた子供の将来に渡る影響を調査しようとの動きは、
アメリカでも同様です。

ただ、いずれも調査自体に大変な時間がかかり、
これからスタートすることを考えると明確な結論が出るのはかなり先のことです。

安易な憶測や推測で問題を煽ることは慎むべきですし、
逆に希望的観測だけで片付ける問題でもありません。
今の時点で明確なリスクを知り、
自主的な判断をすることが大切です。