HOMENEWSトップ 》 不妊治療のリスク》 2005/04/27/01
クロミッドの使用が子宮ガンのリスクを高める可能性
■2005/4/27 UP

■出典:American Journal of Epidemiology 2005 161(7):607-615

■キーワード:排卵誘発剤、副作用、子宮ガン
   
 

[要 約]
最もポピュラーな飲み薬の排卵誘発剤の使用が子宮ガンのリスクを高めることが、
アメリカ国立ガン研究所(NCI)の研究員をリーダーとする「後ろ向きコホート研究」※で明らかになりました。

1965〜1988年の間に不妊症と診断された8,431名のアメリカ人女性を対象に、
クロミッドの服用と子宮ガンとの関連性を調査しました。

その結果、39名の女性が子宮ガンにかかっており、
一般の女性が子宮ガンにかかるリスクに比べて、56%高いものでした。

クロミッドの摂取量が900mg以上、
6周期以上の摂取、
摂取後20年以上経過している女性と、
クロミッドの摂取量や摂取したサイクルが多ければ多いほど、
摂取後の期間が長いほどリスクが高まっているようです。

特に、肥満で未妊娠の女性が最もリスクが高く、
そのリスクは12倍以上になるそうです。

子宮ガンはエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が多いほどリスクが高くなることから、
クロミッドの服用が間接的にエストロゲンの分泌を増加させるため、
このような調査結果が出たものと考えられるとしています。

そして、クロミッドの服用と子宮ガンの関連性についての調査研究は、
今後も、さらに、長期に渡り、大規模に実施していく必要があるとしています。

※後向きコホート研究とは?
疫学的研究法の一つで、薬を飲んでいない人の集団と、
ある薬を飲んでいる集団に分類し、比較分析し、
その間にある因果関係を調査することをコホート研究といい、
前向きコホート研究と後向きコホート研究の2種類がある。
前向きコホート研究では対象者の曝露要因を研究者が調べることから研究が始まるのに対して、
後向きコホート研究では、すでに曝露が起こってしまった後で、
事後的に(後向きに)、その集団を追跡調査することで、因果関係を調査します。

 
   

[解 説]
クロミッドは、排卵障害が不妊の原因になっているケースで、
まず、最初に処方される薬で、最もよく使われている排卵誘発剤です。

どんな薬も副作用は付きものですが、
飲んですぐの副作用としては、卵巣が腫れたり、下腹部に張りや痛みを覚える、
物がかすんで見えたり、吐き気、頭痛、いらいら感、だるい、
顔の潮紅、尿が増える、口が渇く 発疹等が報告されていますが、
今回の調査のように長期間に渡るリスクも気になるところです。

ただし、クロミッドを飲んでいる方は、大勢おられると思われますが、
クロミッドを飲むこと、イコール、将来的な子宮ガンが心配、
そのように 短絡的に考えてしまうと不必要な不安を招くばかりです。

右往左往する必要はありません!
安心してよい、と言っているのでは、決してありません。
正しく認識して、正しい判断をすることが大切だと言いたいのです。

薬には期待する作用と期待しない作用、
どちらも起こってしまうもので、
それら、利益とリスクを冷静に天秤にかけて受け止めることが大切です。

得られる利益は、卵が育ち、排卵が促されることです。
これは、卵が育ちにくく、排卵が起こりにくいことで、妊娠できない方にとっては、
妊娠の可能性を大きくしてくれるものです。

今回の研究発表で判明したリスクは、
たいたい、20年後に子宮ガンになるリスクが高まるというものです。
それでは、それはどれくらいのリスクになるかといいますと、
8,431人中で、39人で、4.6%です。
100人中、5人弱ということになります。

いかがでしょうか?

さらに、考慮に入れる必要があるのは、
ガンになるのは、さまざまな要因が複合的に絡み合ってのことである、ということです。
なにも、クロミッドを飲むことによるエストロゲンの分泌量の増加だけが、
子宮ガンのリスクではないということです。

推測ですが、タバコを吸うことによるリスクの方が大きいのではないでしょうか。

肥満女性や妊娠していない女性のリスクが高いとされています。
おそらく、肥満は脂肪が多いことを意味しますから、
エストロゲンは脂肪でも生成されること、
妊娠していない女性は、妊娠、出産の経験のある女性よりも、
月経を多く経験することから、エストロゲンの分泌が多くなることから、
いずれも要因はエストロゲン量です。

ところが、エストロゲンの量は要因の一つにしか過ぎません。
その他、食生活や生活習慣、ストレス等の要因が複合的に影響しているはずです。

クロミッドには長期に渡る副作用があることを知っておく必要はあります。
ただし、大切なことは、その割合が、どれくらいであるかということも冷静に把握しておくということ、
また、対策と言う意味も含めて、バランスのとれた、野菜や果物の豊富な食生活、
適度な運動やタバコを吸わないこと、ストレスをうまく付き合うこと等、
健康に十分に留意することです。