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VOL.735 ヨーロッパ生殖医学会ダイジェスト(2)

2017年07月16日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.735 2017/7/16
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今週の必読記事:日焼け止め使用でビタミンD不足...20代女性に調査
・トピックス:ヨーロッパ生殖医学会ダイジェスト(2)
・当社製品&サービス
・編集後記


今週の必読記事______________________________________________________

 日焼け止め使用でビタミンD不足...20代女性に調査
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20代の女性が週に3回以上日焼け止めクリームを使った場合、血中のビタミンD濃度が常に「欠乏状態」になっていたことが大阪樟蔭女子大学の研究でわかったとのこと。

ビタミンDは、ビタミンでは珍しく、体内でつくられていて、紫外線を浴びることでコレステロールから合成されます。そして、必要な量を体内合成分と食事の摂取分、7対3の割合でまかなっているとされています。

そのため、紫外線を過剰にカットすれば、体内合成量が減ってしまい、不足、あるいは、欠乏してしまうというわけです。

特に女性の場合、お肌を守るために紫外線対策に熱心ですが、今回の研究では欠乏状態になるかならないかの日焼け止めクリームの使用頻度の境目が週に3回の使用であることがわかりました。

週に1回、2回程度であれば大丈夫だけれども3回以上になると欠乏しない分のビタミンDがつくれなくなってしまうということになります。

あくまで、欠乏を避けるためですので、不足を避けるためとなると、もっと、厳しくなってしまうはずです。

因みに日本内分泌学会の基準では19ng/ml未満が欠乏、20ng/ml以上30ng/ml未満が不足、30ng/ml以上が充足とされています。

女性にとっては悩ましい問題ですが、ビタミンDが豊富な魚やキノコ類などを積極的に食べること、また、サプリメントを利用することも必要かもしれません。

▼記事はこちらから。
https://goo.gl/tvHfqN


トピックス Jul.2017_________________________________________________

 ヨーロッ生殖医学会ダイジェスト(2)
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先週に引き続き、7月2日から5日までスイスのジュネーブで開催された第34回ヨーロッパ生殖医学会で口頭やポスターで発表された研究内容の要約の中から食事と生殖機能との関連研究をピックアプしてご紹介します。

今週は食事についてです。

食習慣が地中海食に近い女性はそうでない女性に比べて体外受精の妊娠率や出産率が高かったという研究結果が、ギリシャのヘロコピオ大学の研究チームから発表されました。

地中海食と言えば、健康食として世界的に有名で、地中海食に近い食習慣を続けている人はあらゆる生活習慣病や認知症の発症リスクが低いという数多くの研究報告がなされています。

妊娠、出産においても例外ではなく、地中海食に近い食習慣は不妊症や早産、そして、出生児のアレルギー発症リスクが低いことと関連するという報告があります。

一方、飲み物では砂糖入り清涼飲料水は血糖値の急上昇を招き、太りやすくなったり、糖尿病の発症リスクを高めることが知られていますが、これまで排卵障害の不妊症のリスクを高めるとの研究報告がなされています。

今年のヨーロッパ生殖医学会では地中海食や飲み物と体外受精の治療成績との関係について調べた研究結果が発表されました。

■地中海食と体外受精治療成績との関係

体外受精に臨む22-41歳の女性、244名に食物摂取頻度調査票に回答してもらい食習慣が地中海食にどれだけ近いかをスコア化(地中海食スコア)しました。地中海スコアは0から55で、スコアが高いほど地中海食に近いことをあらわします。そして、地中海食スコアで3つのグループに分け体外受精の治療成績との関係を調べました。

その結果、採卵数や受精率、胚の質には有意な関連はみられませんでしたが、地中海食スコアが高かった(36以上)女性(83名)は、低かった(30以下)女性(71名)に比べて有意に妊娠率(51.5%対32.4%)、出産率(49.4%対29.6%)ともに高いことがわかりました。

また、年齢やBMI、喫煙などの影響を統計学的に調整した結果、スコアが高かった女性は低かった女性に比べて妊娠率が2.2倍、出産率が2.5倍高いことがわかりました。

地中海食スコアと体外受精の治療成績との関係をある一時点で調べた研究であることから、何ら結論的なことは言えませんが、地中海食は治療成績によい影響を及ぼす可能性があるとのこと。

◎地中海食とは?

地中海食とはどのような食事なのか、地中海食スコアの出し方をみてみましょう。地中海食スコアとは、食習慣がどのくらい地中海食に近いかを数値化したもので、スコアが大きいほど地中海食に近いことを意味します。

算出方法は、地中海食に関連する11種類の食品の摂取量や摂取頻度を6段階(0-5)で点数化し、それを合計(0-55)します。11種類の食品は以下の通りです。

・多く食べるほどスコアが高くなる食品:
無精製穀物(全粒穀物、全粒粉パン、全粒粉パスタ、玄米他)、じゃがいも、果物、野菜、豆類、魚、オリーブオイル

・多く食べるほどスコアが低くなる食品:
赤身肉や鶏肉、全脂肪乳製品(チーズ、ヨーグルト、牛乳)、アルコール

要するに、地中海食とは、精製度の低い穀物を主食にして、野菜や果物、豆類、魚を多く、オリーブオイルを使い、肉類が少ないという食べ方ということになります。

実は、和食にとても近い食べ方で、和食に野菜や果物を増やすことで地中海食になります。どちらも、抗炎症、抗酸化に働く栄養素を多く摂り、油が健康的ということが共通します。

これらのことから、地中海食研究が教えてくれるのは、昔ながらの和食を基本として、主食を玄米や胚芽米などの精製度の低い穀物にし、果物や野菜を2倍くらいにするとよいかもしれないということになります。

■飲み物と体外受精の治療成績との関係

イスラエルのテルアビブ大学とアメリカのハーバード大学の研究チームは、カフェインは体外受精の治療成績に関連しなかったが、砂糖入り清涼飲料水は妊娠率や出産率を低くするかもしれないとの研究結果を発表しました。

テリアビブ大学病院で体外受精に臨む340名の女性に治療開始時にアンケートで飲み物を飲む習慣とその頻度について回答してもらい、カフェイン総摂取量や特定の飲み物の摂取量と治療成績との関係を調べました。

その結果、コーヒーやエスプレッソ、紅茶、ホットチョコレート、ソーダ、栄養ドリンク等、14種類の飲み物を飲む習慣があり、1日の総カフェイン摂取量(0-816mg)やコーヒー摂取量(0-10杯)は体外受精の治療成績とは関連しませんでした。ところが、カフェイン入り紅茶や砂糖入り清涼飲料水、栄養ドリンクを飲む習慣のある女性は成熟卵や受精卵の数が少ないことがわかりました。特に栄養ドリンクを飲む女性は飲まない女性に比べて採卵数が4.4個、成熟卵数が2.9個、受精卵数が1.6個少ないことがわかりました。

さらに、砂糖入り清涼飲料水だけは妊娠率や出産率に関連し、砂糖入り飲料水を飲まない女性に比べて1日に0.1-1杯飲む女性は出産率が9%、1日に1杯以上飲む女性は13%、それぞれ、低く、妊娠率でも同様でした。

◎飲み物と妊娠しやすさの関係について
飲み物と言えば、カフェインやアルコールがよく話題になりますが、カフェインやアルコールは適量であれば、それほど神経質になる必要がないことがわかっています。

ところが、気をつけないといけないのは「砂糖入り清涼飲料水」です。コーラや缶コーヒー、スポーツドリンクなど、あらゆる、缶やペットボトルに入った飲料、自動販売機やコンビニで買える飲料ですが、これが問題のようです。正しく言えば、ここに入っている大量の砂糖や甘味料です。
相当な量が入っているため、空腹時に飲むと血糖値が急上昇し、習慣化すると体質によってはインスリン抵抗性や糖の代謝異常を招くおそれがあるというのです。

高血糖や高インスリンは胚の成育を阻害したり、質を低下させますので、妊娠には不利になります。
この季節、水分補給が大切ですが、飲むならミネラルウォーターや麦茶、ほうじ茶にすべきです。

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・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

夏の果物と言えば、まっさきに思い浮かぶのが、スイカですね。

このスイカ、単に喉の渇きをいやしてくれるだけではなくて、男性の精力増強や女性の冷えやむくみを改善してくれたり、また、細胞の老化の原因とされている活性酸素を抑制する抗酸化作用のある「シトルリン」という成分が最も豊富に含まれている果物です。

だいたい、スイカ100グラムあたりにシトルリンが180ミリグラム含まれているそうで、スイカ7分の1くらいで、効果が期待できる量の800ミリグラム摂れるそうです。

また、特に豊富に含まれるのは赤いところではなくて、その周縁の白いところなんだそうです。

あまり知られていないスイカの健康効果のお話しでした。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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