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VOL.724 「座らない」という運動のススメ

2017年04月30日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.724 2017/4/30
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・トピックス:「座らない」という運動のススメ
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年4月29日 曇り時々雨、のち晴れますように
居場所
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20170429.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


トピックス Apr.2017________________________________________________

 「座らない」という運動のススメ
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大型連休がはじまりました。この時期はアウトドアが気持ちのよい季節です。日頃、運動不足な方は、この機会に思いっきり身体を動かしたいですね。

ただ、大切なことは連休が終わった後も身体を動かすこと、すなわち、運動習慣を身につけることです。

ところが、日常生活に戻れば、運動する時間的と余裕がないと感じていらっしゃる方も少なくないでしょう。仕事と治療の両立で精一杯というような状況であれば、なおさらのことでしょう。

そこで、今週は「運動」というよりも、「座らない」という方法を提案します。

ーー 運動と卵巣機能についての研究報告

運動は食事や睡眠とともに、健康を維持、増進するための柱の一つであることは間違いありません。

それでは、妊娠を望む女性にとって、どんな運動がよいのでしょうか。これまでの研究報告をみてましょう。

まずは、アメリカのハーバード大学による大規模、かつ、長期間に渡るコホート研究「看護師健康調査」では運動と排卵障害のリスクを調べています[1]。

その結果、日常の運動は卵巣機能によい影響を及ぼすことがわかっています。

ウォーキング、ジョギング、サイクリング、エアロビクス、テニス、スカッシュなど、日常の運動時間と排卵障害のリスクの関係を調べたところ、それらの運動時間が長くなるほど排卵障害になりにくかったというのです。

週の運動時間が1時間増える毎に排卵障害のリスクは7%低くなり、BMIの影響を排除してもその傾向は変わらず、週の運動時間が5時間でリスクが最も低くなったとのことです。

日常の運動は卵巣機能によい影響を及ぼすようです。

ーー どんな運動が妊娠によい影響を及ぼすのか?

日常の運動習慣と妊娠確率を調べたデンマークの有名な研究があります。

18~40歳の女性の日常の運動時間と妊娠するまでに要した期間を調べ、運動が妊娠確率にどのように影響するのか調べています[2]。

運動強度の影響をみるため、激しい運動(ランニングやスピードを意識したサイクリング、エアロビクス、水泳)と穏やかな運動(ウォーキングやサイクリング、ゴルフ、ガーデニング)に分けました。

その結果、週に5時間以上の激しい運動をする女性は全く運動しない女性に比べて妊娠確率が32%低く、週に5時間以上穏やかな運動をする女性は1時間以下の女性に比べて妊娠確率が18%高いことがわかりました。

ところが、BMIが25以上の女性では運動強度に関わらず、妊娠確率が高いことがわかりました。

要するに、BMIが適正(肥満でない)女性にとっては、穏やかな運動は妊娠にプラスに働くけれども、激しい運動はかえって妊娠にマイナスになるかもしれないというわけです。

ーー 「運動」というよりも「座らない」

デンマークの研究結果は、どのように取り組めばいいのかについて、大きなヒントを教えてくれているようです。

それは、妊娠を望む女性にとっては「運動に取り組む」というよりも、「ちょこちょこ動く」程度の運動が適しているということです。

このことは、わざわざ、「運動に取り組む」ような時間的余裕がない方にとっても朗報でしょう。
日常の中で「ちょこちょこ動く」程度であれば、誰でも出来そうですから。

言ってみれば、「運動」というよりも「座らない」というイメージです。

具体的には日常の行動を置き換えるというパターンです。

・エレベータやエスカレータ → 階段
・電車・バス移動の一部 → 自転車・徒歩
・座る動作や作業 → 立つ動作や作業

実際にやってみるとどうなるか、当社の2名のスタッフで試してみました。オムロンの活動量計(HJA-403C)を身につけて、平日に普段どおりの生活の中で「座らない」運動を実践してみました。

その結果は以下の通りです。

・スタッフM の場合
○朝のウォーキングはいつもより距離を延長。
○自転車の駐輪場はいつも1階を使用しているが、3階において階段を上り下り。
○通勤中の移動は階段を使い、電車内では立つ。
○ランチはいつもより遠いお店まで歩く。
トイレに行ったら、腿上げ10回。

これだけで、1日の歩数が2500歩増え、消費エネルギーが143kcal増えました。水泳でクロール20分間、エアロビクスだと25分に相当しました。

・スタッフHの場合
○バスの停留所は一つ前で降りて歩く。
○帰りはバスを使わずに、40分の道のりを歩く。
○会社のエレベータを使わずに階段で上り下り。
○歯磨きしながら腿上げ。
○ランチはいつもより遠いお店まで歩く。
○トイレに行ったら、腿上げ10回。

これで歩数で2500歩、消費エネルギーで117kcal増えました。クロールで16分、エアロビクスだと21分の運動に相当しました。

特にスタッフHは運動習慣がありませんが、日常のちょっとした取り組みで、相当な運動が可能なことがわかりました。

これだけでも、頭がスッキリしたり、身体がポカポカするとのこと。

ーー 「座らない」という運動のススメ

わざわざジョギングや水泳、サイクリングを始めたり、スポーツジムや教室、クラスなどへ通わなくても、ちょっとした工夫で、身体を動かすことは可能です。

運動をはじめようと気合いを入れて、お金と時間をつかう必要もありません。

私たちが取り組んだ方法以外にも「座らない」運動は、いくらでもあるかと思います。

是非、取り組んでみてください!

◎関連ページ
・運動で好循環スパイラルをつくる
http://www.akanbou.com/topics/topics/021.html
・日常の運動習慣や胚移植後の身体活動と体外受精の治療成績
http://www.akanbou.com/news/news.2014021801.html
・運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2016082101.html
・3つの運動スタイルの妊娠させる力への影響:無作為比較対照試験
http://www.akanbou.com/news/news.2016121301.html
・よく運動し、テレビを見る時間が少ない男性ほど精子濃度が高い
http://www.akanbou.com/news/news.2013020701.html

◎文献
1)Epidemiology 2001; 13: 184.
2)Fertil Steril 2012; 97: 1136.

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5月14日 【勉強会】不妊治療とヨガ(東京)
http://yoga-medical.org/learning/1478/

5月28日 【妊活イベント】「私たちらしく、妊活」(東京)
http://nin-event.com/

5月28日 【講演会他】小さな命をなくした体験を語り合う会(東京)
http://www.akanbou.com/seminar/docs/wakomoevents1705.pdf


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・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

よい連休をお過ごしください!


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.724
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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