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VOL.698 体外受精の治療成績に有効なストレス対策を考える

2016年10月30日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.698 2016/10/30
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:体外受精の治療成績に有効なストレス対策を考える
・編集室からのお知らせ
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年10月30日 最新ニュース
毛髪と唾液中のストレスホルモン「コルチゾール」と治療成績の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2016103001.html
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2016年10月29日 最新ニュース
さい帯血のビタミンDレベルと子のADHDとの関係
http://www.akanbou.com/news/news.2016102901.html
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2016年10月24日 最新ニュース
PCOSへのレスベラトロール補充効果
http://www.akanbou.com/news/news.2016102401.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Oct.2016___________________________________________

 体外受精の治療成績に有効なストレス対策を考える
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ストレスホルモンとして知られる「コルチゾール」と体外受精の妊娠率の関係を調べたところ、唾液中のコルチゾールレベルは妊娠率に関連しなかったけれども、毛髪中のコルチゾールレベルは妊娠率に関連し、レベルが高いほど妊娠率が低いことがわかりました。
http://www.akanbou.com/news/news.2016103001.html

━ 唾液中と毛髪中のストレスホルモンと妊娠率の関係

イギリスのノッティンガム大学の研究グループは、ストレスが体外受精の妊娠率に及ぼす影響を調べるために、唾液中と毛髪中の「コルチゾール」を治療開始前に測定し、その後の治療成績との関連を解析しました。

「コルチゾール」というのはストレスに反応して分泌されるホルモンで、そのことから、ストレスホルモンと呼ばれています。ストレスは漠然としていることから、ストレスレベルを測る際に、このホルモンレベルを指標として使われています。

これまでもコルチゾールレベルと妊娠率の関係についての研究は多く行われていますが、その結果にはバラツキがありました。コルチゾールが高い人ほど妊娠率が低いというものもあれば、反対に、妊娠率が高いというものあり、さらには、関連しないというものもあります。

研究グループは、その原因の一つとして、これまでの研究では、唾液や尿、血液、卵胞液中のコルチゾールを測定していたからではないかと考えました。

そもそも、コルチゾールは、朝に高くなり、夜に低くなる傾向があり、そのレベルが変動するということがあります。その上、唾液や尿、血液、卵胞中のコルチゾールは、せいぜい、1日、2日のレベルしかわかりません。

そこで、唾液に加えて、毛髪のコルチゾールも測定することにしました。毛髪中のコルチゾールは3ヶ月から6ヶ月の長期間のレベルの指標になるからです。

その結果、唾液中のコルチゾールは妊娠率に関連しなかったのに対して、毛髪中のコルチゾールが高い人ほど妊娠率が低いことがわかりました。

━ ストレスはどのように妊娠率に影響を及ぼすのか

この研究結果から言えることは、「その時々のストレスは妊娠率に影響しないが、慢性化すると妊娠率を低下させる」ことになるかもしれないということです。

もちろん、毛髪中のコルチゾールレベルと妊娠率の間に負の相関関係が確認されたということであって、ストレスと妊娠率の相関関係が、直接、確認されたわけではありませんし、ましてや、コルチゾールやストレスがどのようなメカニズムで妊娠率を低下させるのかを解明したわけでもありません。

ストレスは妊娠率を下げるのか、下げるのであれば、どのようなストレスがどのくらいのレベルになれば、どのくらいのレベルで妊娠率が下がるのか、そして、それはどのようなメカニズムによるのかは、これからの研究に期待するしかありません。

ただし、現在進行形で不妊治療を続けている方で、ストレスの影響が心配な方、ストレス対策を考えていらっしゃる方には、今回の研究結果は大いに参考になると思います。

━ 有効なストレス対策を考える

ストレスをゼロにすることは難しいというか、そもそも、非現実的です。そのため、ストレス対策とは、ストレスにうまく対処する、言いかえれば、ストレスを受けてもマイナスの影響を受けないようになる、すなわち、ストレスに強くなることを目指すことになります。

今回の研究結果から得られた知見は「その時々のストレスは妊娠率に影響しないが、慢性化すると妊娠率を低下させる」ということです。

有効なストレス対策を考える前に、有効でない(無効な)ストレス対策を挙げるとすると、いわゆる「ストレス発散」と言われているものです。たとえば、お酒を飲んだり、悩みを打ち明けたり、大声を出したり、なにかに八つ当たりしたりすることです。

「敵」は急性ではなく、慢性なのです。

一時的にストレス解消法になっても、本当の対処法にはなり得ません。あくまで、一時避難的な方法です。

もしも、その間に、"嵐(ストレス)"が去ってくれたり、弱くなってくれればいいのですが、なかなか、そういうわけにもいきません。またもや、"嵐"に悩まされることになります。

ですから、"発散"ではなく、"対処"するには、嵐そのものをなくしてしまう(遭遇しないようにする)か、もしくは、嵐に遭遇しても、その影響が出来るだけ小さくなるようにこちらの"受け身"を磨くことしかありません。

そうです、ストレス対策とは、柔道で言うところの「受け身」の技術を磨くイメージです。

━ 「受け身」でストレスに強くなる

◎「ココロ」の受け身を磨く

悩みの対象を正しく理解し、把握するように努めることです。

ストレスによるマイナスの影響は、悩みの"大きさ"や"深さ"ではなく、"把握度"で決まってくると言われます。

つまり、敵の正体が漠然としていれば、心配や不安は無限大で、どのように闘えばいいのかについても雲をつかむような印象しか持てません。

ところが、敵についての正確な情報が得られれば、心配や不安は、より具体的で、限定的なものになり、適切な闘い方も考えることが可能になります。

問題の難易度に関係なく、少しでも"コントロール感"を持てるようになると、精神的に前向きになることは出来、それに伴って、ストレスによる影響はずいぶん小さくなることが分かっています。

また、辛い経験の中にもいい面をみつけることも大切です。

思うように授からないことは、経験した者でないと到底分かり得ないような辛く悲しいものでしょう。

ところが、少し冷静な時に考えてみれば、そして、いろいろな知識が身についてくれば、そんな経験にもいい面があることに気づけるかもしれません。

つまり、不妊という期間を経験した者でないと得られない"いいこと"を、積極的にみつけるということです。

そのことによって、ストレスによるマイナスの影響は大きく緩和されることが分かっています。

◎「カラダ」の受け身を磨く

まずは、毎朝、太陽の光を浴びることです。

太陽の光を浴びることで、私たちに備わっている体内時計がリセットされ、さまざまなホルモンや神経伝達物質の分泌が促進されます。

それにより、ストレスによるマイナスの影響が小さくなることが分かっています。

そして、リズム運動を習慣化することです。

リズム運動、たとえば、腹式呼吸法やウォーキング、ジョギング、その他、リズミカルに身体を動かすことで、精神面のリラックスが得られ、肉体的には、自律神経のバランスが整い、免疫力が高まります。

日常生活で取り組みやすいリズム運動をみつけて、それを習慣化します。

朝のウォーキングは、太陽の光を浴びながら、リズム運動が出来る、一石二鳥な理想的な運動です。たとえ、15~20分でも毎朝の習慣にすることで、ストレスによるマイナスの影響が小さくなるだけでなく、精神的肉体的な健康効果は絶大です。

◎「キズナ」で受け身を磨く

絆とは、もちろん、"断つことのできない人と人との結びつき"のこと。

パートナーであるご主人や周囲であなたを支えてくれる大切な人たちとの結びつきを強くすることです。

パートナーに身体にタッチしてもらったり、マッサージしてもらうだけで、ストレスホルモンが低下することが確かめられています。

そして、身体に触れることは、パートナーの状態をよりよく知ることができるようになります。

また、周囲の人たちとの協同作業もとても効果的です。作業内容は、仕事でも、ボランティアであっても、何でも構いません。

絆が人間の心身をとても強くしてくれることが分かっています。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


編集室からのお知らせ______________________________________________
 
 不妊相談会開催のお知らせ
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東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第19回不妊相談会が11月27日の日曜日に開催されます。院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。
http://www.akanbou.com/doctor/interview06/

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

また、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」がART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを見出し、国内や海外の学会で発表され、現在、臨床試験を実施しておられます。
http://home.j07.itscom.net/ivfjinno/news.html

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。

◎第19回不妊相談会

日程:2016年11月27日(日)
時間:9:30~11:30
場所:調布市文化会館「たづくり」
定員:50名
費用:無料

参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105(担当:受付:星、黒田)

・詳細ページ
http://home.j07.itscom.net/ivfjinno/setumeikai.html
・ウイメンズクリニック神野サイト
http://home.j07.itscom.net/ivfjinno/index.html


イベント&セミナー情報____________________________________________

11月27日 不妊相談会(東京)
http://www.akanbou.com/seminar/20161123-4456.html

11月23日 Fine祭り2016 全国おしゃべり会special in 仙台
http://www.akanbou.com/seminar/20161123-4456.html

11月13日 Fine祭り2016 全国おしゃべり会special in 名古屋
http://www.akanbou.com/seminar/20161016-4424.html


当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

秋は旬の食べ物が豊富で、美味しい季節です。野菜や果物は、旬が最も含まれる栄養素が多くなることがわかっています。

食材が持つパワーや味は、やっぱり、本来の季節に収穫されたものが一番のようです。

旬を美味しくいただきましょう!

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.698
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,972部
・まぐまぐ: 3,545部
・合計部数: 5,517部(10月30日現在)
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◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
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