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VOL.687 食品成分の多彩な働きについて考えさせられること

2016年08月14日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.687 2016/8/14
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:食品成分の多彩な働きについて考えさせられること
・編集室からのお知らせ:不妊治療を考えたら読む本出版記念講演会
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年8月14日 最新ニュース
葉酸はBPAによる体外受精治療成績の低下を緩和させるかもしれない
http://www.akanbou.com/news/news.2016081401.html
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2016年8月13日 曇り時々雨、のち晴れますように
お墓参り
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160813.html
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2016年8月12日 曇り時々雨、のち晴れますように
御巣鷹山
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160812.html
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2016年8月11日 曇り時々雨、のち晴れますように
夏の帰省
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160811.html
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2016年8月10日 曇り時々雨、のち晴れますように
銀閣寺
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160810.html
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2016年8月9日 曇り時々雨、のち晴れますように
カウンセリング事例:タイミング、人工授精
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160809.html
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2016年8月9日 編集長コラム
本当に大切なのはそこではなくて、、、。
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20160808.html
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2016年8月8日 曇り時々雨、のち晴れますように
お気持ち
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160808.html
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2016年8月7日 曇り時々雨、のち晴れますように
三角関係
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160807.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Aug.2016_________________________________________

 食品成分の多彩な働きについて考えさせられること
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食事からの葉酸はビスフェノールAによる体外受精の治療成績低下を緩和させる可能性があることがアメリカで実施された研究で明らかになりました。

━ ビスフェノールAと生殖機能の関係

ビスフェノールA(BPA)は、主に、ポリカーボネートと呼ばれるプラスティックの原料として使用される化学物質で、電気機器、OA機器、自動車・機械部品、食器、容器などに、使用されています。

体内に取り込まれるのは、主に、食事を通してで、ポリカーボネート製の食器や容器などから、また、食品の缶詰や飲料缶から飲食物に溶けだし、それを飲食することによるものです。

BPAを摂取すると、エストロゲン受容体が活性化され、エストロゲンに似た生理作用が働くようになることから、内分泌をかく乱する物質(環境ホルモン)として、健康への有害な影響があるのではないかと考えられてきた過去があり、特に、生殖機能へのマイナスの作用が懸念されてきました。

実際に、これまで尿中のBPA濃度が高い女性ほど不妊治療の治療成績が悪くなるという臨床試験結果がいくつか報告されています。

ところが、治療成績が悪くならないという研究もあり、BPAの生殖機能への有害な影響は確定的になっているわけではありませんでした。

その一方で、BPAの害を打ち消す成分が存在するのではないかという仮説にもとに、ネズミを使った実験で、大豆や葉酸がBPAの生殖機能へのマイナスの影響を打ち消すことが確かめられていました。

そこで、ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、そのことが人間にも当てはまるのか調べたというわけです。

━ 葉酸の摂取量が尿中BPA濃度と体外受精の治療成績の関係に影響を及ぼす

体外受精に臨む女性に、過去3ヶ月間の食事やサプリメントからの葉酸の摂取量を、そして、治療開始後、尿サンプルを採取し、尿中のBPA濃度を、それぞれ、測定しました。

1日の葉酸摂取量の中央値が449μgであったことから、対象者を1日の葉酸の摂取量が400μg未満と400μg以上の2つのグループに分け、尿中のBPAレベルと体外受精の治療成績との関係を調べました。

その結果、食事からの葉酸摂取量が1日に400μg未満の女性のグループでは、尿中BPA濃度が最も高かった女性は、着床率や臨床妊娠率が統計学的に有意に低かったのに対して、食事からの1日の葉酸摂取量が400μg以上の女性ではBPA濃度と治療成績は関連しなかったとのこと。

要するに、食事から葉酸を比較的多く摂取していた女性ではBPA濃度が高くなっても妊娠率は変わらなかったのに、あまり葉酸を摂取していなかった女性ではBPA濃度が高くなると妊娠率が下がったというわけです。

このことは、葉酸がBPAのマイナスの影響を打ち消しているかもしれないという、強い状況証拠になります。

また、研究チームは、大豆食品でも同じことを確かめていて、大豆を食べない女性ではBPA濃度は高くなるほど治療成績が悪くなるのに対して、大豆を食べている女性では治療成績は尿中BPA濃度に関係なく一定でした。

さらに、中国の研究では、ビタミンB群を十分に摂取している女性は不足している女性に比べて環境ホルモンによる生殖機能を低下させる影響を受けにくいことを明らかにしています。

━ 食品成分の多彩な働き

環境ホルモンは、ホルモンではないのに、ホルモン受容体に結合し、ホルモンのような働きをし、さまざまな混乱を引き起こすと考えられています。

一方、大豆食品には植物性エストロゲンと呼ばれているイソフラボン類が含まれていて、これもエストロゲンではないのに、エストロゲンのような働くをすることが知られています。

ただし、サプリメントなどで摂った場合は、「混乱」させて、マイナスの作用を引き起こすことがありますが、大豆食品として、普通に、食べている限りは健康にプラスに働くことが知られています。

また、葉酸をはじめとするビタミンB群やアミノ酸などの栄養素は「メチル化」という現象に深く関わっていて、これらが不足したり、過剰になったりすると、遺伝子発現の度合いが変化することも知られています。

今回も研究でも確かめられましたが、あくまで、予防効果があったのは「食事から」の葉酸でした。

いかがですか?

同じ成分でも、身体にプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することがあるようですが、その差についての本当のことは、もちろん、よくわかっていませんが、摂取量であり、摂取方法によるもののようです。

そして、改めて思うのは「食事」の大切さです。

そもそも、よほど特殊な食べ方をしない限り、食事で単一の栄養素を過剰に摂取することは、まずは、ありません。

また、よいとされている成分だけでなく、未知の成分も「食べ物」には含まれています。そのため、それらが相互に協力しあって、多彩な働きを発揮するのでしょう。

━ バランスよく「知る」ことが大切

従来、環境ホルモンについてのマスコミの伝え方は、一様に「センセーショナル」で、不安や心配を煽るような報道をされてきた印象があります。

実際、環境ホルモンの多くは、個人レベルでは現実的には防ぎようがありません。

そう考えると、BPAの生殖機能へのマイナスの影響が大豆食品や葉酸、ビタミンB群などによって、緩和される可能性があるという、一連の研究結果は広く知ってもらう必要があるのでは思います。

不確定な未来に対しての心配や不安は大きくなりがちです。

情報においても「バランス」が大切なのかもしれません。

バランスよく、知って、バランスよく、食べることが基本ですね。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


編集室からのお知らせ______________________________________________
 
 不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる「妊娠への近道」
 出版記念講演会のご案内
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7月20日に発売するやいなや、Amazonベストセラーランキング第一位になり、注目を浴びている「不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる妊娠への近道」の出版記念講演会が開催さます。

・不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる妊娠への近道
http://www.akanbou.com/bookguide/isbn10-4062579766.html


もちろん、共著者である、浅田レディースクリニック院長の浅田義正先生、出産ジャーナリストの河合蘭さん、お二人の講演会です。

既に本を読み、もう少し、詳しく知りたいと思った方、本は読んでいないけれども、不妊治療を受けている、考えているので、著者のお二人のお話を、直接、聞いてみたいという方も、参加されてみてはいかがでしょうか。


<講演会詳細>
日時:9月10日(土)
入場:16:45~
講演:17:00~18:30

講師:浅田義正先生(医療法人浅田レディースクリニック理事長)
   河合 蘭氏(出産ジャーナリスト 科学ジャーナリスト賞2016受賞)
司会・ファシリテーター 松本亜樹子

会場:AP品川アネックス(〒108-0074 東京都港区高輪3丁目23-17品川センタービルディング受付1F)
Tel:03-5475-6109  Fax:03-5475-8109
https://www.tc-forum.co.jp/kanto-area/ap-shinagawaanex/shna-base-2/

会費:本をすでにお持ちの方 2000円
   本購入希望の方    3000円

定員:40名

お申し込みはこちらのフォームで 
https://goo.gl/forms/77qWKcSYWrLzTo1J3
ご質問・お問合せは株式会社メディエンス・池上まで(office@mr-net.org)

当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
よいお休みをお過ごしください。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.687
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,915部
・まぐまぐ: 3,630部
・合計部数: 5,545部(8月14日現在)
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