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VOL.685 不妊治療は乳がんの発症リスクを増加させるか

2016年07月31日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.685 2016/7/31
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:不妊治療は乳がんの発症リスクを増加させるか
・今週のおすすめ本:不妊治療を考えたら読む本
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 July.2016_________________________________________

 不妊治療は乳がんの発症リスクを増加させるか
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体外受精で排卵誘発剤を使っても、その後の乳がんの発症リスクは増加しないことが、オランダで実施された、これまでで最も長期に渡る追跡調査で明らかになりました。

━ 排卵誘発剤の副作用

私たちのところに寄せられる相談や質問内容から思うに、体外受精で排卵誘発剤を使うと聞くと、なんとなく、「体に負担がかかる」という印象を持たれることが多いようです。

何をもって負担とするかは、いろいろあるかもしれませんが、実際の排卵誘発剤の副作用として最も避けなければならないのは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と多胎妊娠だとされています。

OHSSは重症化すると命に関わることがあり、多胎妊娠は低出生体重児や妊娠や出産のリスクを増加させるからです。

ところが、現在ではOHSSの発症を招かないような卵巣刺激法が開発され、また、子宮に戻す胚の数は原則1個とされていますので、いずれの副作用も以前ほどは心配しなくてよくなりました。

ただ、もう1つ、乳がんや卵巣がんなど、婦人科系のがんの発症リスクの増加があります。

━ 排卵誘発剤と乳がん

乳がんの発生には女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっているとされています。

その一方で、体外受精では妊娠率を高めることを目的に、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の卵胞を育てますが、その際に、短期間ではあるものの、エストロゲンレベルを上昇させることになり、通常の10倍以上になる場合もあると言われています。

当然、体外受精の卵巣刺激が治療後の乳がんの発症リスクを高めることになるのではないかとの懸念がありました。

そのため、これまで多くの研究が実際されてきましたが、その結果は、概ね、関連しないというものでした。

ただし、乳がんの発症年齢は30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えることから、治療後、長期間に渡る追跡調査を行わなければ、結論は出せないとされてきました。

━ オランダがんセンターによるOMEGA研究

12ヶ所のクリニックで1983〜1995年に体外受精を開始した女性19,158名と4ヶ所のクリニックで一般不妊治療を開始した女性5,950名の乳がんの発生率を調べ、発症リスクを比較しました。

その結果、進行乳がんと診断された女性は839名、早期の乳がんと診断された女性は109名でしたが、体外受精を受けた女性は一般不妊治療を受けた女性や一般女性と比べて発症リスクに差はありませんでした。

そして、55歳時点での乳がんの累積発生率は体外受精グループの女性で3.0%、非体外受精グループの女性では2.9%で、その差は治療後20年以上経過しても増加しませんでした。

また、治療周期数でみると、7周期以上治療を受けた女性の発症リスクは治療周期が1回、もしくは、2回だった女性に比べても低く、初回の治療周期の採卵数でみると、4個未満だった女性の発症リスクは4個以上だった女性に比べても低いことが、それぞれ、わかりました。

これらの結果から体外受精を受けた女性の乳がん発症リスクは治療後20年以上経過しても、治療周期数によっても、採卵数によっても増加しないことがわかりました。

━ 未経験ゾーン

今回は排卵誘発剤と乳がんの発症リスクの関連についての研究でしたが、卵巣がんについても、これまで多くの研究が実施されており、こちらも、概ね、心配ないという結果です。

そもそも、がんの発症リスクは遺伝的な要因や生活習慣も関与していることがわかっています。

遺伝的な要因はいかんともしがたいものですが、生活習慣については自分でコントロール可能です。

ところが、現代の社会は、結婚年齢にしろ、生活環境にしろ、生活習慣にしろ、これまで人類が経験したことのない、言ってみれば未経験ゾーンを進んでいます。

要するに、過去に答えがないというわけです。

だからと言って、壮大な人体実験のなすがままにならなければならないわけでもありません。

やはり、頼りにすべきは科学的な根拠に基づいた情報を得て、自分で自分や家族も生活を守ることだと思います。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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今週のおすすめ本____________________________________________________

 不妊治療を考えたら読む本 〜科学でわかる「妊娠への近道」
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名古屋の浅田レディースクリニック理事長の浅田義正先生と出産ジャーナリストの河合蘭さんの共著です。浅田先生は高度生殖医療、とりわけ、顕微授の第一人者として有名な先生で、河合蘭さんは、あの、卵子の老化について世間に知らしめるようになったということから、衝撃的とまで言われた本、「卵子老化の真実」の著者です。

お二人は、この本をつくった動機について以下のように書かれています。


妊娠しにくいと感じているカップルにいちばん知ってほしい「本当に必要な知識」、それは、「命の始まりについての正しい知識」や「妊娠がうまくいかないときに利用できる最新の『科学的根拠に基づいた医療』にはどんなのがあるか」ということを伝えられる本を作ろうと思いました。(P.4)

・妊娠しやすいカラダづくりBOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/isbn10-4062579766.html
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当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

関東地方も梅雨が明けました。

暑い季節になるといつも思うのですが、頭が求める快適な温度はカラダの働きが最適になる温度よりも相当低いように思えてなりません。

人類の長い歴史の中で、そんなメカニズムが出来あがったのでしょうか。

もしも、そうだとすると、今の時代には、かえって、災いを招きかねません。

エアコンの設定温度が調整可能であれば、高めの設定にし、自分の都合だけで調整できない環境にいるときには、ハラマキや重ね着なんかで自己防衛を考えたほうがよさそうです。

夏だからこそ、温かい飲み物を飲み、温かい食べ物を食べるのがいいかもしれません。

年齢のせいかのかもしれませんが、いろいろと工夫が必要だと思う季節にななりました。

皆様におかれましても、くれぐれも、ご自愛くださいませ。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.685
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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