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VOL.682 妊娠しやすい「セックス」について考える

2016年07月10日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.682 2016/7/10
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:妊娠しやすい「セックス」について考える
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年7月3日 曇り時々雨、のち晴れますように
新番組
http://goo.gl/G2AJzo
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2016年7月3日 編集長コラム
チームプレイヤーと個人プレイヤー
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20160703.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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最新ニュース解説 July.2016_________________________________________

 妊娠しやすい「セックス」について考える
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このサイト(妊娠しやすいカラダづくり)で最もアクセスの多いのは「妊娠の可能性を最大にする性生活」のページです。

ずばり、「どんなセックスが妊娠に有利なのか」に最も高い関心が寄せられているというわけです。

そもそも、子づくりイコールセックス、なので、どんなセックスをするかは妊娠確率に直結しそうに思えるし、そして、すぐにでも試してみることができるので、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

だからこそと言うべきか、いろいろなことが言われていて、いろいろなことが真剣に試されているようです。

やはり、根拠に基づいて情報を選別することが大切です。

ちょうど、7月3日から7日までフィンランドのヘルシンキでヨーロッパ生殖医学会が開催されていましたので、関連する講演や研究発表をご紹介します。

━ 人工授精直後の安静は必要か?

性行為直後は女性の腰を高くしたり、足を持ち上げたり、果ては逆立ちしたりするとよいという話があります。

いずれも射精された精子が卵子のところに到達しやすくなるということなのでしょう。

性行為後ではありませんが、人工授精直後の安静時間の長さとその後の妊娠率との関係を調べた研究結果が発表されています。

オランダのアムステルダム自由大学の研究で479名のマイルドな男性不妊や原因不明による不妊症の女性をランダムに2つのグループに分け、1方のグループには人工授精後15分間仰向けに膝を立てて安静にしてもらい、もう1方のグループには安静時間を設けず、最長で6周期(自然周期3周期+刺激周期3周期)の妊娠率を比較しました。

その結果、安静グループの950周期の累積妊娠率は32.2%であったのに対して、安静時間のなかったグループの984周期のそれは40.3%で、安静効果は認められませんでした。安静にしなかったグループのほうが妊娠率が高かったようですが、統計学的に意味のある差ではないため、安静にするかしないかは妊娠率と関連しないと結論づけられています。

研究チームは、この結果について、膣内に射精された後、精子は2分以内に頸管粘液を通過し、約5分後には卵管に到達していること、精子は子宮内で数日は受精能力があることなどから、安静時間を設けることが妊娠率に影響することがないのだろうとしています。

━ 性行為の体位や体勢は妊娠しやすさに関係するか?

シェフィールド大学のペイシー教授は「妊娠のために自分たちで出来ること」をテーマとした講演で、性行為の方法と妊娠しやすさについてさまざまなことが言われているが、いずれも根拠の乏しいと述べています。

それは、そもそも、射精された精子は約5分で卵管に到達すると考えられているので、性行為の体位や行為後の女性の体勢は関係しないと、同様の理由を指摘しています。

そのため、妊娠を望むカップルは妊娠しやすくなるとされているさまざまな方法について神経質になる必要はなく、カップルへの大切なアドバイスとして、とにかく、「仲良くするということ」だけであると強調しています。

━ オーガズムと妊娠率の関係は?

女性のオーガズムが妊娠に寄与するという意見も多くあるようです。たとえば、オーガズムによって頸管が精子を吸い上げるような動きするようになり、より多くの精子が子宮から卵管に到達するのを助けるというものです。

ただし、いずれの意見も仮説の域を出ていません。

実際にオーガズムと妊娠率との関係を調べた研究では、オーガズムのある女性はない女性に比べて妊娠率が高いものの、妊娠率の高さは「オーガズムの有無」によるものではなく「セックスの回数」によるものだったのこと。

要するに、オーガズムのある女性はない女性に比べて、セックスの回数が多く、そのことが妊娠率の高さになったというわけです。

━ セックスの回数が多いカップルが最も妊娠しやすい

このようにセックスの方法、すなわち、体位や行為直後の女性の体勢、そして、オーガズムの有無などは、いずれも妊娠率とは直接関係しないというわけです。

また、セックスの「タイミング」は妊娠率に関係しますが、「妊娠しやすいタイミングにあわせてセックスをする」ことは妊娠率に関係しないこともわかっています。

もっと踏み込んで言えば、セックスの方法や妊娠しやすいタイミングに合わせることは、ストレスになったり、男性の射精障害や勃起障害を招いたりするリスクを高めることになりかねないこともわかっています。

エビデンスが確立されているのは「セックスの回数が多いカップルほど妊娠率が高い。それは、不妊治療を受けているいないに関係ない。」ということです。

たとえ、体外受精や顕微授精を受けていても、セックスの回数が多いカップルの女性は免疫学的に妊娠しやすくなることがわかっています。

「仲良くすること」は、妊娠を望むすべてのカップルへの間違いのないアドバイスのようです。

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当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

油は身体に悪いという印象をもっている方は、まだまだ、少なくないかもしれませんが、大切なことは「どれだけ脂肪を摂取するか」ではなく、「どんな脂肪を摂取するか」だということがハーバード大学の大規模な疫学調査の結果が明らかにしています。


飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は控えめに、オメガ3やオメガ6脂肪酸をバランスよく摂ることが元気に長生きすることにつながるというものです。

12万6,233人の医療従事者を30年弱追跡したとのこと。

いつも思うのは、そもそも、これだけの試験を行うことの「凄さ」です。

油と健康の関係については、たとえば、動物性がダメで植物性がよいとか、コレステロールはよくないとか言われてきましたが、いずれも間違いだったということで否定され、新しい説に書き換えられています。

そのきっかけになるのは試験によって判明したことがベースになっています。

そして、それは試験で長期に渡ってデータを提供し続けてくれた被験者のおかげでもあります。

私たちは常に新たな知見が得られたことの恩恵を受けていますが、それらは商業的、あるいは、自然発生的にわかったことではないことを意識しつつ、感謝の気持ちを持ち、活用したいものです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.682
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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・自社配信: 1,896部
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・合計部数: 5,552部(7月10日現在)
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