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VOL.636 原因不明では体外受精が最も妊娠率が高いのか?

2015年08月23日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.636 2015/8/23
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今週の必読記事:30代半ば40代で妊娠を目指すうえで大切な最もこと
・今月のトピックス:原因不明不妊では体外受精が最も妊娠率が高いのか?
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年8月18日 最新ニュース
勤務時間の長さや肉体的にきつい仕事と妊娠までにかかった時間
http://www.akanbou.com/news/news.2015081801.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


今週の必読記事______________________________________________________

 30代半ば40代で妊娠を目指すうえで最も大切なこと
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私たちの身体は、1日周期のサーカディアンリズムをはじめとして、さまざ
まなサイクルの「リズム」をもっていて、あらゆる身体の働きの「タイミン
グ」をコントロールし、調整しています。そして、その「リズム」をつくり
だしているのが「体内時計」です。

この「体内時計」がズレてしまうと、高齢の女性は排卵しづらくなることが
大阪大学や立命館大学などの研究チームがマウスを使った実験で突き止めた
とのこと。

そもそも、排卵はホルモンの分泌のタイミングがつくりだすタイミングによ
り、起こるわけですから、体内時計がズレると、月経周期に影響を及ぼすこ
とは容易に想像できます。

ただ、今回の研究で注目すべきは、出産適齢期の若いマウスでは体内時計の
ズレの影響は受けなかったのに、人間では30代半ばから40代に相当する
高齢のマウスでは排卵しづらくなったことを確かめたことです。

つまり、体内時計のズレによる影響は若い雌マウスでは修復できるけれども
高齢の雌マウスではそれが出来なかったと考えられるわけです。

30代半ばから妊娠率の低下が顕著になってきますが、若い頃であれば影響
を受けなかったことが年齢とともに影響を受けてしまうことが一因になって
いると言えます。

ここに、30代半ばから40代で妊娠を目指す女性が「なにが大事で、なに
に取り組むべきか」についての「正解」があります。

体内時計のズレを修復し、ズレないようにするには、早く寝て、早く起きる
こと、そして、夜は暗くする(スマホやPCを見ない)こと、さらに、バラン
スのよい食生活も大切です。

30代半ば以降で妊娠、出産を目指す場合、まずは、「当たり前な」健康的
な生活を徹底すべきである!ということに他なりません。

▼記事はこちらから。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H9M_R20C15A8CR0000/

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今月のトピックス Aug.2015___________________________________________
 
 原因不明不妊では体外受精が最も妊娠率が高いのか?
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日本産科婦人科学会は、これまで不妊症の定義として、望んでも「2年」妊
娠できない場合としていましたが、その期間を「1年」にすることにしたよ
うです。

アメリカやヨーロッパでは「1年」としていますし、現実には私が知ってい
る限り、通院をはじめるタイミングとして1年と考えていカップルが多かっ
たように思いますので、それほどの影響はないのではと思います。

ただ、1年間妊娠できなくて、意を決して通院を始めたものの、特に不妊の
原因がみつからなかった場合、従来、ステップアップ治療という治療の進め
方、すなわち、タイミング指導など、負担の軽い治療から徐々にスタートす
るという考え方が主流でしたが、最近は女性の年齢にもよると思いますが、
体外受精からはじめるカップルも少なくないという印象があります。

そもそも、体外受精が女性の卵管に問題があったり、重度の男性不妊などで
卵子と精子が出会えないことで妊娠が妨げられているケースで行われる治療
法でしたが、最も妊娠率が高い治療法として、原因不明不妊や高齢不妊でも
行われるようになりました。

ですから、とにかく、肉体的、経済的な負担よりも、早く妊娠することを優
先し、はじめから体外受精を受けるという選択もあると考えるわけです。

ただ、確かに1日も早く妊娠できるに越したことはありませんが、やはり、
人工授精に比べて体外受精は身体への負担もコストも大きいものです。

ましてや、少なくとも片側の卵管が通っていれば体外受精に頼らなくても妊
娠は可能ですし、高齢不妊の場合、体外受精でも根本的な問題(卵子の老化)
が解決されるわけではありません。

とにかく、やってみなければわからないわけですから、治療方法の選択は、
本当に悩ましいものです。

そこで、そんなカップルにとって大変参考になる論文がオランダから発表さ
れましたのでご紹介したいと思います。

■3つの治療法を受けた602組の原因不明不妊カップルの1年後

1年間妊娠できなかった602組の原因不明不妊のカップルをランダムに3
つの治療方法にわけ、1年後の結果を調べています。

尚、対象者は正常な排卵があり、少なくとも片側の卵管は通っている、男性
に問題はない、ただし、軽度の男性不妊は含まれています。あと、子宮内膜
症やホルモン異常はないという、まさに原因不明不妊です。また、女性の年
齢は18〜38歳ですので、高齢不妊も含まれていると考えてよいと思います。

・治療方法
1)卵巣刺激を行う体外受精(選択的単一胚移植)3周期+凍結融解胚移植
2)マイルドな刺激を行う体外受精6周期
3)排卵誘発+人工授精6周期

・1年後に出産に至った確率
1)52%(104/201)
2)43%(83/194)
3)47%(97/207)

・平均の妊娠までに要した期間
1)8.04ヶ月
2)8.32ヶ月
3)8.39ヶ月

結果は、体外受精でも、人工授精でも、治療成績や妊娠までにかかる期間に
統計学的に意味のある差はみられなかったというものです。

■不妊治療は自分たち状態に応じてふさわしい「選択」をすべき

今回の研究結果からは、それまで1年間妊娠できなかった原因不明不妊(軽
度の男性不妊や高齢不妊を含む)カップルにとって、最初から体外受精を受
ける合理的な理由はないということが言えます。

大切なことは、治療法、そのものに優劣はなく、それぞれのカップルにふさ
わしいかどうかがあるということです。

そのため、自分たちの身体の状態をできるだけ正確に把握し、自分たちの考
え方や価値観とすりあわあせた上で、自分たちにふさわしい「選択」をすべ
きということになります。

文献:
Prevention of multiple pregnancies in couples with unexplained or
mild male subfertility: randomised controlled trial of in vitro
fertilisation with single embryo transfer or in vitro fertilisation
in modified natural cycle compared with intrauterine insemination
with controlled ovarian hyperstimulation.
BMJ 2015;350:g7771

Is IVF-served two different ways-more cost-effective than IUI with
controlled ovarian hyperstimulation?
Hum. Reprod. Advance Access August 12,2015

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当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・ヨガセラピー:頑張っている人のためのリラックスヨガ
 http://www.akanbou.com/yoga/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/


編集後記____________________________________________________________

お盆を過ぎると、確かに、まだまだ、暑いことは暑いですが、暑さの質が変
わってきたように感じます。暑い中にも、微妙な変化が感じられます。

今年も本当に暑かったですが、そんな中で、睡眠が大切だということを、改
めて感じました。健康管理のポイントは、とにかく、質のよい睡眠ですね。

必読記事でも紹介した体内時計に強く影響を及ぼすのは「光」と「食」です。

クーラーをつけっぱなしで寝ると、翌日は、体が重く、節々が痛かったりし
ます。クーラーに頼らずに熟睡する方法として、いろいろ言われていますが、
小手先のやり方ではなかなか通用しません。

私にとっての最適な方法は、早起きし、そして、いつもよりも運動強度を高
め、身体が本気で眠ろうとする状態にもっていくことです。

無理しないことが大切です(笑)。かえって、逆効果になるというリスクを
伴いますので。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.635
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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・合計部数: 5,189部(8月23日現在)
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