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VOL.480 母親や父親の年齢が子に及ぼす影響について

2012年08月26日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第480号  2012年8月26日発行

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 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼最新ニュース解説(2)
母親や父親の年齢が子に及ぼす影響について

▼妊カラ編集室から
不妊をテーマにしたイベント「Fine祭り2012」

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2012年8月22日 妊娠報告 
子宮筋腫切除後気持ちと体調を整えて初めての胚移植で
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2012082201.html
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2012年8月20日 最新ニュース
食事パターンと精液の質の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2012082001.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 最 新 ニ ュ ー ス 解 説
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 母親や父親の年齢が及ぼす子どもの健康への影響
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母親になる女性の年齢が高くなると、妊娠しにくくなったり、妊娠しても、
流産しやすくなったり、妊娠や出産に伴うリスクも高くなってしまったりす
ることは、よく知られています。

対して、父親になる男性の年齢の影響は、女性のそれほどでもないと考えら
れています。

ところが、生まれた子どもの健康ということになると、全く逆であるという
大変興味深い研究結果が発表されました。

一つは、母親の年齢が高いほど、5歳までの子どもの健康がより良好だとい
うイギリスの大規模な調査研究の結果がブリティッシュメディカルジャーナ
ル誌に、もう一つは、父親の年齢が高くなるほど、子どもの自閉症や統合失
調症の発症に関連する遺伝子変異が多くなるというアイスランドの研究結果
がネイチャー誌に、それぞれ、掲載されています。


━ 母親の年齢と子どもの健康状態や成長度合いとの関係

晩婚化のために子どもを出産する女性の年齢が、年々、高くなっているのは、
何も日本だけのことではないようで、先進国では共通のことのようです。

イギリスでも全く例外ではなく、この20年間に40代の出産数が3倍に増
えたとのことで、日本と同じ状況です。

"高齢出産"では、妊娠や出産時のリスクが高くなることはよく知られてい
ますが、さて、生まれた後のこと、すなわち、母親が高齢で生まれた子ども
の健康状態や成長度合いはどうなのか、当然、気になるところです。

そのことについて、単に心配しているだけでなく、本当のところを確かめて
みたいと、大規模で、長期に渡る調査が実施されたというわけです。

2つの大きな疫学調査の被験者の約3万人以上の子どもについて、生後9ヶ
月時点、3歳時点、そして、5歳時点で、過去1年間に、「治療が必要な怪
我」や「入院が必要な病気」、「推奨されている予防接種」、「身長と体重」、
「言語発達や感情発達状況」について、追跡調査を実施しました。

そして、その結果と母親の年齢との間に、どのような関係があるのか、調べ
ています。

その結果は驚くべきものです。

★子が不慮の事故に遭うリスク

母親の年齢が高くなるほど子が不慮の事故に遭うリスクが低くなっています。
子どもが9ヶ月の時点、3歳の時点、5歳の時点の母親の年齢と不慮の事故
に遭った確率は下記の通りです。

        母親が20歳の子ども   母親が40歳の子ども
9ヶ月時点      9.5%         6.1%
3歳時点      36.6%        28.6%
5歳時点      29.1%        24.9%

★入院が必要な病気にかかるリスク

母親の年齢が高くなるほど子どもが入院が必要な病気にかかるリスクも低く
なっています。それぞれの時点の母親の年齢と入院経験の割合は下記の通り
です。

        母親が20歳の子ども   母親が40歳の子ども
9ヶ月時点     16.0%        10.7%
3歳時点      27.1%        21.6%

ただし、5歳時点では有意な差は見られませんでした。

★予防接種受診率

予防接種の受診状況は少し状況が異なります。

子どもが9ヶ月時点の母親が20歳の子どもの予防接種受診率は94.6%、
母親が40歳の子どもでは98.1%です。

ところが、3歳時点では母親が27.3歳の子どもが予防接種受診率が最も
高くなり、母親の年齢がそれより低くなるほど、また、高くなるほど、受診
率は低くなりました。

この現象については、予防接種が自閉症の原因になるとの間違った論文のせ
いで、年齢が高い母親の子どもの予防接種受診率が下がったのではないかと
しています。

★言語発達スコア

3歳時点、5歳時点での子ども言語発達スコアのは母親の年齢が高くなるほ
ど高くなっています。

★社会的、感情的問題

3歳時点、5歳時点で社会的、感情的問題がある子どもの割合は母親の年齢
が高くなるほど低くなっています。

以上のように、母親の年齢が高くなるほど、子どもが不慮の事故に遭ったり、
入院が必要な病気にかかる割合が低くなり、予防接種の受診率や言語発達ス
コアが高くなり、社会的、感情的な問題のある子どもの割合は低くなるとい
うことがわかったとのことです。


━ 父親の年齢と遺伝子変異との関係

母親になる女性の年齢が高くなるほど、子どもの先天性疾患のリスクが高く
なることも、また、よく知られています。

妊娠時点の父親になる男性の年齢が高くなるほど、子どもが自閉症や統合失
調症にかかるリスクが高くなる傾向になることも、これまでの研究が示して
いました。

新たな研究では、父親の年齢が高くなるほど、遺伝子変異の数が多くなるこ
とが、その原因であることを突き止めたかもしれないと言うのです。

アイスランドの研究チームは、両親は精神障害はないけれども、子どもは自
閉症、もしくは、統合失調症と診断された78家族の精神障害に関連する遺
伝子配列を調べました。

その結果、父親の年齢が高くなるほど、子どもの遺伝子変異の数が多かった
とのこと。

受精時の父親の年齢が20歳の子どもの遺伝子変異は25、40歳になると
65で、父親の年齢が1歳高くなるごとに、子どもの持つ遺伝子変異が2つ
増えたと言います。

ところが、母親の年齢には全く関係なかったというのです。

このことは何を意味するのでしょうか?

それは、母親の年齢が高くなるほど、ダウン症のような染色体異常のリスク
が高くなりますが、自閉症や統合失調症のような精神障害についての遺伝リ
スクはほとんどは卵子ではなく、精子の染色体異常に起因するものだという
ことです。


━ 老化するのは卵子だけではない

最近、マスコミで「女性の卵子は老化する」ということが盛んに取り上げら
れています。

科学雑誌の「ニュートン」まで、最新号で、話題のテーマを検証するとして、
妊娠を困難にする大きな原因の一つ「卵子の老化とは?」という特集記事が
組まれています。
http://www.newtonpress.co.jp/science/newton/index.html

「卵子の老化」が妊娠を困難にする大きな原因の一つであることが、これだ
だけ強調されると、今度は、"卵子さえ若ければ全ての問題が解決する"か
のような、そんな印象を抱いてしまうことはないでしょうか。

実際に、特集記事の中でも、若い女性から卵子提供を受けると年齢がいくつ
になっても"妊娠率"は下がらないというアメリカのデータを紹介していま
す。

また、最先端の再生医療技術を生殖医療に応用すれば、卵巣機能が低下した
高齢女性でも卵細胞を再生させることが近い将来可能になることを伝えてい
ます。

確かに"妊娠する"という目的は達成できるようになるのでしょう。

ところが、高齢になると、老化するのは卵子だけでなく、その他の臓器も老
化し、その機能は低下するのも、また、現実です。

ですから、若い卵子の提供を受けても、自らの卵細胞を再生させたとしても、
妊娠が期待できるようになるかもしれませんが、他の臓器が老化したままだ
と、胎児の発育や出産には、依然として高いリスクが伴うことは明らかです。

卵子を若返らせると、当然、他の臓器も同じように若返らせる必要があると
いうことになるのでしょうし、トータルでバランスよく若返らせることなん
て可能なのかという懸念が残ってしまいます。

卵子の老化という問題さえ、クリアすれば全ての問題が解決するわけではな
いということだけは間違いないことでしょう。


━ 年齢の問題だけでも、女性の問題だけでも全くない

今回、紹介した最新の研究報告は、人間の心や身体に起こる全ての現象は、
ただ一つの原因によって起こるものでは決してない、そう教えてくれている
ように思えてなりません。

ですから、母親になる女性の年齢が高い子どもほど健康状態や成長度合いが
良好だからといって、それは決して母親の年齢が直接の原因ではないわけで、
健康な子どもに育てるために高齢出産が推奨されることにはならないのは当
然のことで、反対に子どもの自閉症などの精神障害のリスクを避けるために
高齢男性は子どもを望むべきではないなんていうことにもならないわけです。

妊娠すること、妊娠を維持すること、出産すること、子を育てることにおい
て、悪いことは、全て女性の年齢や卵子の老化によるものだけでは決してな
いわけです。

女性の年齢が高いほうが有利な領域もあるわけですし、卵子の老化だけでな
く、精子の老化も問題を引き起こすことがあるわけです。

つまり、老化そのものが悪いわけではなく、バランスの崩れが悪いのです。

であれば、老化を敵視するのではなく、老化を受け入れ、そして、全体のバ
ランスを整えることのほうが現実的なのではないでしょうか。

お子さんを待つにあたって、そして、卵子や受精卵、胚、胎児、お子さんを
育てるは、単に、若いからいい、高齢だから悪いというとらえ方ではなく、
生命を育んでくれている、大きな自然に感謝し、祈ること、自然のリズムに
あわせ、朝は早く起き、夜は早く寝ること、そして、新鮮な野菜や果物、魚
介、肉類、精製度の低い穀物や油、つまりは、自然な状態に近い食材をいた
だくことで、当たり前な健康こそが最も心地よいことであることを感じるこ
とが全ての基本ではないでしょうか。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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不妊をテーマにしたイベント「Fine祭り2012」申込み受付中!
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毎年恒例になりました、NPO法人Fine主催の「Fine祭り」ですが 今年のタ
イトルは「Fine祭り2012 仲間と話そう!不妊」。

今年は全国5カ所で開催され、国際不妊患者団体連合とのコラボで、京都・
大阪では国際学会も開催、参加費無料の国際学会で、海外での不妊治療事情
などを聞けたり、おしゃべり会で、仲間たちと気兼ねなく思いっきりおしゃ
べりできます。

あなたも、辛い思いを一人で抱えずに、仲間と話してみませんか?

※「Fine祭り2012」詳細はコチラ↓↓
 http://j-fine.jp/matsuri/2012/matsuri.html

<日程>

◆ 京都 ◆
9月1日(土)13:00~17:00 (予定)
「Fine祭り2012 with iCSi国際会議」
国内外の、不妊や卵子提供に関する講演
※iCSi(国際不妊患者団体連合)会議

◆ 大阪 ◆
9月2日(日)12:00~14:00 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in大阪」
ランチを食べながら仲間とのおしゃべり

9月2日(日)15:00~16:30(予定)
「Fine祭り2012 with ASPIRE iCSiセッション」
国内外の不妊体験者たちによる発表など
代理出産についての話も聞けます。

※ASPIRE(アジア太平洋生殖医学会)2012
 http://www2.convention.co.jp/aspire-jsfi2012/ 

◆ 札幌 ◆
10月7日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in札幌」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 福岡 ◆
10月21日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in福岡」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 東京 ◆
11月3日(土)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in東京」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆「Fine祭り2012」関連ブログ◆↓
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65665147.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65666442.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65667863.html 

「祭り」ネーミングの由来はこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/p-a.pdf 

「Fine祭り2012」お申込みはこちら↓
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→「妊娠しやすいカラダづくり」
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▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
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 編 集 後 記
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8月も後半になりましたが、相変わらず、暑い日が続きます。体調を崩すこ
となどありませんように。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.480
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎発行部数
・自社配信: 298部
・まぐまぐ: 4,877部
・合計部数: 5,175部(8月27日現在)
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