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VOL.409 よい卵子をつくるには?

2011年04月17日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第409号 2011年4月17日発行

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お子さんを望まれるカップルを応援します。

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼4月の妊カラ

▼トピックス
よい卵子をつくるには?

▼妊カラ編集室から

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年4月14日 妊娠報告
2度の流産、1度の子宮外妊娠を経て、体外受精を休んだ周期に自然妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2011041401.html
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2011年4月11日 最新ニュース
PFCs(フッ素化合物)と早期閉経との関係 
http://www.akanbou.com/news/news.2011041101.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com

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 4 月 の 妊 カ ラ
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 基本に立ち返る
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これまでに経験したことのないことが起こり、いろいろなことを感じ、日頃
は当たり前なこととして、やり過ごしていたことも、少し、つきつめて考え
るようになったように思います。

妊カラも基本に立ち返り、本当に大切なことを確認しておきたいと思います。

お子さんを望むカップルにとっての基本は"仲良くする"こと。また、妊娠
に至るために最も必要とされるのは"よい卵子と精子"です。そして、受精
卵が健全に成育するのに欠かせないには"新しい命を育む環境を整える"こ
とです。

テーマは、「仲良くする」「よい卵子をつくるには」、そして、「新しい命
を育む環境を整える」です。

・4月 3日配信 VOL.407 タイミング法にまつわる誤解を正す(前半)
・4月10日配信 VOL.408 タイミング法にまつわる誤解を正す(後半)
・4月17日配信 VOL.409 よい卵子をつくるには?
・4月24日配信 VOL.410 新しい命を育む環境を整えよう


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 ト ピ ッ ク ス
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 よい卵子をつくるには?
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卵子と精子に生命力が備わっているか、すなわち、質のよい卵子と精子が得
られるかどうかが、妊娠するために最も大切なことです。

このことは、不妊治療を受けていても、受けていなくても変わりありません。

なぜなら、不妊治療では、排卵を促したり、排卵する卵の数を増やしたり、
卵子と精子を近づけたりすることは得意とするところですが、卵子や精子の
質そのものをよくすることは出来ないからです。

また、質のよい卵子を得るということについて、もう少し厳密な言い方をす
れば、私たちにはどうにもしようがないところもあります。

それは、卵子の場合、精子と違って、常に新たにつくり続けられているわけ
ではなく、既に卵巣にあって、その都度、成育してくるわけですから、運悪
く、遺伝情報などが損なわれている卵が巡ってくることもあるからです。

そこのところは、残念ながら、やりようがないというか、避けようがありま
せん。

また、女性が年をとればとるほど、そのような卵、すなわち、染色体に異常
のある卵が選ばれて、成育する頻度が増えてきます。

ですから、年齢や偶然性に支配されているということは、一方で冷静に受け
止めておかなければならないことだと思います。

さて、それでは、健全な卵が選ばれた場合、よい卵に成熟して、そして、生
命力の強い受精卵を得るにはどうすればよいのでしょうか?


━ 受精卵の良し悪しを決めるもの

"よい受精卵を得る"とはどういうことでしょうか?

そもそも、受精卵は"どこかからやってくるもの"ではなく、"私たちの体
内で育つもの"です。

つまり、"既製品"ではなく、"私たちのカラダが育てるもの"です。

ということは、受精卵の良し悪しは、私たちのカラダの育て方次第だと言え
ます。

ここのところを、さらに突っ込んで考えてみましょう。

私たちのカラダがうまく受精卵を育てられるか、育てられないか、その違い
は何で決まるのでしょうか?

以下に整理してみましょう。

1)私たちのカラダが"適切な指令"をそれぞれの器官に発すること。

2)卵細胞が分裂、増殖するための"材料"が揃っていること。

3)材料を正確に組み立てる"職人"や"道具"が揃っていること。

4)そのための十分な"エネルギー"が供給されていること。

5)細胞にダメージを及ぼすものからの"防御システム"が整っていること。

もちろん、遺伝情報が損なわれていない卵が選ばれること、すなわち、設計
図が正確であること、これについては既にお話しした大前提ですが、それ以
外は、この5つに集約されるのではないでしょうか。

もしも、このうちのどれか1つでも、その量や質が不十分であれば、せっか
く健全な卵が選ばれても、生命力の強い受精卵に育つことは叶いません。

つまり、この5つは「絶対条件」です。


━ 私たちがすべきこと、私たちにできること

それでは、それぞれの要件を満たすのに、私たちに何ができるのかについて、
順番に考えてみましょう。

1)適切な「指令」を発するために

建物を建てるときに、現場監督が頼りなかったり、その指示が徹底されなけ
れば、うまく工事が進みません。

受精卵を育てるときの現場監督、すなわち、司令塔は脳内の視床下部です。

そして、それぞれの持ち場(器官)にその指令を伝えるのはホルモンの役割
です。

視床下部は、総合的な司令塔で、ストレスへの対応も担います。そのためス
トレスが続くと、ストレス対応に忙殺されて、生殖器官への指令がおろそか
になってしまうことがあります。

また、指令を伝える生殖ホルモンは、コレステロールからつくられ、血流に
のって、それぞれの器官に運ばれます。

取り組むべきは、ストレスのマネージメントやコレステロールを不足させな
いこと、血流をよくすること、卵巣刺激(ホルモン療法)などです。

2)卵細胞が分裂、増殖するための「材料」を揃えるために

いくら卵を育てなさいと命令しても、分裂、増殖に必要な材料が十分に揃っ
ていなければ、卵はうまく育ちません。

細胞はたんぱく質、細胞膜はコレステロールで構成されています。

菜食主義や間違ったダイエットが妊娠しづらくさせてしまうのはこのためで、
当然と言えば当然です。

取り組むべきは、肉や魚、豆類、卵、乳製品をまんべんなく食べることです。

3)材料を正確に組み立てる「職人」や「道具」が揃えるために

材料を揃えて、育てなさいと命令しても、それを組み立てる職人や道具が不
十分であれば、卵はうまく育ちません。

卵細胞を分裂、増殖させる職人は酵素で、道具は補酵素で、酵素はたんぱく
質からつくられ、補酵素はビタミンやミネラルです。

卵細胞が健全に成育するためには、材料と職人、道具が揃うだけでなく、バ
ランスも大切です。

何か一つが突出して多くても使えませんし、突出して少なければ、全体の仕
事が進まなくなってしまうからです。

取り組むべきは、肉や魚、豆類、卵、乳製品に加えて、多くの種類の新鮮な
野菜や果物、精製度の低い穀物を食べ、また、不足しがちな鉄や葉酸などは
サプリメントで補うこと。

4)十分な「エネルギー」を供給するために

材料が揃い、職人や道具が完璧でも、作業を進めるエネルギーが不足してい
れば、仕事が滞ってしまいます。

細胞の分裂、増殖に必要とされるエネルギーは、糖質(炭水化物)をビタミ
ンB群などが、燃料に使える形に変換し、ミトコンドリアで、酸素で燃やし
て産生します。その際には補酵素やミネラル、ビタミン様物質も不可欠な役
割を担っています。

取り組むべきは、肉や魚、豆類、卵、乳製品に加えて、多くの種類の新鮮な
野菜や果物、精製度の低い穀物を食べること。

また、不足しがちな鉄やビタミンB群などはサプリメントで補うこと。

そして、適度な有酸素運動はミトコンドリアの数を増やし、エネルギー産生
効率を高めます。

5)「防御システム」が整っていること。

腕のいい職人が高性能な道具を使って、せっかくよい卵をつくっても、デリ
ケートな卵をしっかりと守ってあげないと、質が低下してしまいかねません。

つくりっぱなしはいけません。

卵を攻撃するのは活性酸素。活性酸素から卵を守るのは抗酸化システム。具
体的には、抗酸化酵素や抗酸化物質たちです。

抗酸化酵素はたんぱく質やミネラルで構成されていて、抗酸化物質は抗酸化
作用のあるビタミンやミネラルたちです。

取り組むべきは、良質のたんぱく質や海藻、新鮮な野菜や果物をしっかりと
食べること、ストレスをマネージメントすることです。

以上が、5つの要件を満たすのに、私たちがすべきこと、私たちにできるこ
との、超ダイジェストです。


━ 結局は当たり前な健康なカラダとココロが生命力を育む

私たちの身体が、生命力の強い受精卵を育むためには、新鮮な食材をバラン
スよく食べること、よく身体を動かすこと、ストレスをうまくマネージメン
トするという、極々、当たり前なことになります。

ネット上では、不妊によいとされる、さまざまな機能をもつと宣伝される健
康食品の情報が氾濫しています。

それらは、いくら、よさげに思えても、それほど重要な働きを担っているわ
けではありません。

現代社会に特有の食生活では、ビタミンやミネラルが不足しがちです。

実際に、厚生労働省の平成20年度の国民健康・栄養調査報告では、20~
49歳の女性で、フェリチン(貯蔵鉄)の値が潜在的鉄欠乏とされる30ng/ml
未満なのは全体の70%にもなっています。

また、同じ厚労省が妊娠前の女性に葉酸のサプリメント摂取を勧めるのも、
健全な妊娠に絶対的に必要なベーシックな栄養素が、現代では、いくら食生
活に気を配っていても、不足してしまうビタミンやミネラルがあるという証
拠でしょう。

さらには、間違ったダイエットや食生活で、たんぱく質やコレステロールが
不足している女性も増加傾向にあると言われています。

繰り返しますが、取り組むべきは、新鮮な食材を調理してバランスよく食べ
ること、よく身体を動かすこと、ストレスをうまくマネージメントすること、
そして、不足しがちなビタミンやミネラルは品質の高いサプリメントで補充
すること、これに尽きます。

絶対に必要とされるものやことが不十分であるのにもかかわらず、高度な生
殖医療に頼ったり、珍しい健康食品に期待するするのは本末転倒で、愚の骨
頂だと、心から思います。


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▼妊カラ・男性不妊編
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でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
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 編 集 後 記
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予防原則という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ウィキペディアによりますと、「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術など
に対して、環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす仮説上の恐れがある場合、
科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度
や考え方のこと。」とあります。

要するに、何らかの取り返しのつかない有害性が疑われる場合、そのことが
科学的に証明がなされていなくても、予防的に避けるという考え方です。

水俣病やアスベストでは、科学的な因果関係が十分ではないのでとしながら、
ずるずると規制を先延ばしにしたことで、結局、大勢の方々が大変な被害を
被ったという苦い経験があります。

環境ホルモンなど、有害性を疑われている化学物質などもこの考え方をあて
はめてみればいいのではないでしょうか。

それは、たいていは、生殖機能を低下させたり、乱したりするおそれがある
とされながらも、本当のところはよくわかっていません。

専門家の間でさえ、意見が分かれることもあります。

ですから、科学的に証明されていないから大丈夫なのではなく、可能であれ
ば避けるに越したことはないと考えるわけです。

避けるのに大変なコストや手間がかかるのであれば別ですが、それほどでも
ありません。

たとえば、加工食品やインスタント食品、ファーストフードを食する機会を
減らし、出来るだけ新鮮で、安心できる食材を自ら調理する、また、身のま
わりのものについても、自然に近い素材のものを使うなど。

少し視点を変えて、生活を見直してみてはいかがでしょうか。

そうしなければ安全を確保できないわけでは、決して、ありませんし、損得
でもありません。

そうしなければならない(強制されてする)わけでもありません。

どちらかと言うと、生活や自分、家族を大切にし、生活を楽しむという感覚
が近いかもしれません。

その結果として、安心が得られるというわけです。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.409
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,148部
・合計部数:5,349部(4月17日現在)
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