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VOL.407 タイミング法にまつわる誤解を正す

2011年04月03日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第407号 2011年4月3日発行

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お子さんを望まれるカップルを応援します。

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼今月の特集
妊娠しやすい夫婦生活とは?~タイミング法にまつわる誤解を正す

▼妊カラ編集室から

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年3月31日 最新ニュース
胚盤胞まで培養することで一卵性双胎が増える  
http://www.akanbou.com/news/news.2011033101.html
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2011年3月30日 トピックス
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されたら
http://akanbou.com/topics/topics/041.html
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2011年3月29日 妊娠報告
不妊期間8年以上、不妊治療をやめて3ヶ月後に自然妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2011032901.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com

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 4 月 の 妊 カ ラ
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 基本に立ち返る
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これまでに経験したことのないことが起こり、いろいろなことを感じ、そし
て、それらのことを、普段よりもつきつめて考えるようになりました。

新しい年度のはじまりでもあるこの月ということもあって、妊カラのテーマ
も基本に立ち返ることにしました。

お子さんを望むカップルにとっての基本は"仲良くする"ことでしょう。ど
んなふうに仲良くすればいいのか、世間では間違った情報が入り乱れていま
す。ドクターにタイミング法にまつわる誤解を正していただきました。

そして、よい卵子と精子をつくるには、また、新しい命を育む環境を整える
というテーマでお送りします。

・4月 3日配信 VOL.407 タイミング法にまつわる誤解を正す(前半)
・4月10日配信 VOL.408 タイミング法にまつわる誤解を正す(後半)
・4月17日配信 VOL.409 よい卵子と精子をつくるには?
・4月24日配信 VOL.410 新しい命を育む環境を整えよう


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 今 月 の 特 集
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 妊娠しやすい夫婦生活とは?~タイミング法にまつわる誤解を正す
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妊娠を望むようになると、まずは、性交のタイミングを意識するようになり
ますから、会員の皆さん、特に、まだ不妊治療は受けていない、受けようか
どうか迷っている人にとっては、最も関心のあるテーマの一つでしょう。

ところが、実際のところ、いつどのように性交すると、より妊娠しやすいの
かについて、間違って伝えられることが多く、専門家の間でさえ誤解されて
いることが少なくありません。

そもそも、セックスはプライベート中のプライベートなことですから公然と
語られることはなく、正しい情報が行き渡らないのは当然と言えば当然なの
かもしれません。

ただし、妊娠の可能性を高めるには、正しい知識を持っておくことが大切で
す。それによって病院に行く前に妊娠することが出来ればそれに越したこと
はありません。

そこで、最先端の高度生殖医療を行いながらも、一般不妊治療においても、
症例数、治療成績で、日本のトップの実績のある、東京の梅ヶ丘産婦人科院
長の辰巳賢一先生にお話をお伺いしました。

今週と来週の2回に渡って、ご紹介したいと思います。

今週掲載のテーマ

1)1ヵ月のうち妊娠できる日は6日間もあります
2)最も妊娠しやすいのは実は排卵日ではありません
3)性交の回数が多いほど妊娠率も高くなる訳とは?

来週掲載のテーマ

4)自分で排卵日を予測する2つの方法とは?
5)誰にも聞けないけどちょっと気になること
6)自分たちで実践する正しいタイミング法とは? 
7)病院で受けるタイミング指導


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 1ヵ月のうち、妊娠できる日は6日間もあります
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細川)まずは、そもそも、タイミング法とは?というところから教えてくだ
さい。

Dr)タイミング法とは、排卵日を予測し、妊娠しやすい時期に性交するこ
とで妊娠を目指す方法のことです。

細川)自然妊娠の確率を高める方法ということですね。

Dr)そうです。女性の月経周期中には、妊娠できる日とそうでない日があ
るからです。

細川)妊娠できる日は何日くらいあるのでしょうか?

Dr)1カ月の内、妊娠可能な日は排卵日からさかのぼって6日間あります。

細川)6日間もあるのですね。

Dr)なぜ6日間なのかと言いますと、射精された精子は女性の体内で長く
て5日間、一方、排卵された卵子は1日は生きていて、それぞれ受精可能な
状態にあるからです。

細川)排卵の5日前から排卵日までの6日間が妊娠が期待できるゴールデン
期間というわけですね。

Dr)そうです。英語では妊娠への窓が開いているという意味で「ファータ
イルウィンドウ」と言われています。

【この章のポイント】

・排卵日からさかのぼって6日間が妊娠可能な日である。


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 最も妊娠しやすいのは実は排卵日ではありません
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細川)妊娠できる日は6日間あるということなのですが、タイミング法とい
うと排卵日を狙って性交のタイミングを合わせるというイメージがあります。

Dr)そうですね。

専門の先生でも排卵日に性交するように指導されることが多いようです。

ところが、最も妊娠しやすいのは排卵日ではありません。

妊娠の可能性のある6日間の中でも、排卵の4日前から妊娠の可能性は高く
なるのですが、排卵日の2日前から排卵日前日が最も妊娠しやすくなり、排
卵日当日にはすでに妊娠率は低下してしまうのです。

細川)最も妊娠しやすい日は排卵日ではなく、排卵の2日前や前日なのです
ね。

Dr)そうです。性交した日と妊娠率の関係を調べた2つの研究があります。

周期中に1回性交した場合、排卵日の1日前が最も妊娠率が高くなっていま
す。

また、周期中に複数回性交した場合には、排卵日の2日前が最も妊娠率が高
くなっており、いずれも排卵日には妊娠率が低下しています。

細川)なぜ排卵日当日よりも、その前日や前々日のほうが妊娠率が高くなる
のでしょうか?

Dr)それは、頸管粘液が精子の貯蔵庫として働いているからではないかと
考えられています。

細川)頸管粘液が精子の貯蔵庫になるのですか?

Dr)そうです。

射精された精子は頸管粘液の中に入っていき、そこでいったん貯えられてか
ら、順次、卵管へ送り出されるというイメージです。

ですから、排卵日よりも、その前に性交したほうが妊娠しやすくなるのです。

細川)ということは、何が何でも性交のタイミングを排卵日ジャストにあわ
せる必要はないということですね。

Dr)そういうことです。排卵の4、5日前から妊娠可能になるわけですか
らね。

細川)よく分かりました。

【この章のポイント】

・排卵日から排卵日の3日前までが妊娠しやすい日である。
・排卵日の1~2日前の性交が最も妊娠の可能性が高い。
・排卵日当日は妊娠率がすでに低下している。

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 性交の回数が多いほど妊娠率も高くなる訳とは?
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細川)排卵の2日前や前日が最も妊娠の可能性が高くなるとのことでしたが、
精子濃度のことを考えれば、何日間か禁欲したほうがよいのでしょうか?

Dr)いいえ。

毎日性交すると精液が薄くなりはしないかと心配される方がいらっしゃいま
すが、そのようなことはありません。

細川)禁欲期間は不要だということでしょうか?

Dr)妊娠のチャンスを高めるということから言えば、かえって逆効果にな
りかねません。

実際に、性交の頻度と妊娠率の関係を調べた研究があります。

それによると、週に1回の性交では周期あたりの妊娠率は15%なのに対し
て、1日おきの性交では33%、毎日の性交では37%と、毎日性交すると
妊娠率が最も高くなっています。

細川)性交の回数が多くなるほど、その周期に妊娠できる確率が高くなるの
ですね。

Dr)はい。

また、精液の質ということから言っても同じで、精液所見が正常な10,000例
を対象にした試験で、毎日射精しても精液の質、精子濃度、運動率には変化
は見られなかったとの報告があります。

さらに、乏精子症の場合でも、毎日射精した場合、精子濃度や運動率は悪く
なるどころか最も高くなるというのです。

細川)乏精子症の男性でさえ毎日射精するほうがよいというのには驚きです
ね。

Dr)そうですね。反対に5日以上の禁欲は精子濃度の低下をもたらします。

細川)長い禁欲期間は、精液中に古い精子が増えてしまい、かえって、精液
の質が悪化してしまうのですね。

Dr)適度な頻度で射精しておくことは新鮮な精子をつくりだすためにも大
切なことです。

【この章のポイント】

・毎日性交すると妊娠率が最も高くなる。
・毎日射精しても精液の質、精子濃度、運動率に変化はない。
・乏精子症でも精子濃度や運動率は毎日射精した場合に最もよくなる。
・5日以上の禁欲は精子濃度の低下をもたらす。


次号に続く。

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★辰巳賢一先生 プロフィール

梅ヶ丘産婦人科院長。
医学博士。日本生殖医学会生殖医療専門医。
京都大学医学部卒業。京都大学病院、長浜市立病院、東京大学医科学研究所
( 生殖免疫学)、京都大学病院(不妊外来、体外受精チーム)、神戸中央市民
病院副医長を経て、1991年より梅ヶ丘産婦人科。一般不妊治療から体外受精
などの生殖補助医療まで、不妊に関するすべての分野での豊富な知識と経験
を持つ。これまでに9000人以上の妊娠に成功している。

★最新不妊治療がよくわかる本
http://p.tl/8CRg

★梅ヶ丘産婦人科サイト
http://www.u-m-e.com/

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 編 集 後 記
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新たな季節のはじまりであり、いろいろなことを考え、考えさせられた結果、
もう一度、"自分たちに出来ることに取り組みたい"ということで、今月は
「基本に立ち返る」ことを考えることにしました。

冒頭にも書きましたが、お子さんを望むカップルの基本は"仲良くする"こ
とです。

適切な時期に、数多く仲良くすればするほど、妊娠する確率が高くなるとい
うのは、確立されたエビデンスです。

ただ、性交にまつわるデマや誤解、勘違い、思いこみが少なくありません。

そこで、正しい情報を提供すべく、信頼できる先生にインタビューしました。

そして、さらに基本に立ち返って、よい卵子や精子をつくるカラダにするた
めに、取り組むべきことを整理します。

ベーシックで、本質的なことはシンプルなのかもしれません。

必ず、皆さんのお役に立てる内容です。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.407
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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