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VOL.386 アメリカ生殖医学会ハイライトから

2010年10月31日

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 妊娠しやすいカラダづくり 
 VOL.386
 2010年10月31日                  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.akanbou.com ━

じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


▼今週の更新情報

▼今月のトピックス(2)
アメリカ生殖医学会ハイライトから

▼妊カラ編集室からのお知らせ

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2010年10月29日 妊娠報告
18回採卵するも1度も移植出来ずに転院、刺激法を変えてすぐに妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2010102901.html
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2010年10月25日 トピックス
エビデンスに基づいた妊娠しやすい夫婦生活とは?
http://www.akanbou.com/topics/topics/031.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 今月のトピックス(2)
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 アメリカ生殖医学会ハイライト~その1
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さる10月23日から27日まで、コロラド州デンバーにて、第66回アメ
リカ生殖医学会が開催されました。

学術集会で発表された最新の研究報告から、皆さんのお役に立ちそうなテー
マをピックアップして、何回かに分けて、妊カラ誌上でご紹介してみたいと
思います。

まずは、今週は「油」のこと。「油の摂り方が妊娠する力や妊娠させる力に
及ぼす影響について」です。

油の摂り方が健康を大きく左右することは、もはや常識となりましたが、女
性の妊娠する力や男性の妊娠させる力にも、少なからず影響を及ぼすことは、
以前から指摘されていました。

今回のアメリカ生殖医学会では多くの発表がなされています。

 
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 油の摂り方が精子の数や運動率、形態率に及ぼす影響
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⇒ 脂肪を摂り過ぎたり、肉食が多い割には、魚や野菜が少ない男性は、精
  子濃度が低い。

▼ハーバードメディカルスクールの研究チームによる試験

◎対象者は?

関連病院に通院する男性患者91名

◎どんな方法で?

食事摂取頻度調査で脂肪酸の摂取と精液検査の結果との関連を調べた。

◎結果は?

・脂肪の摂取量が多いほど、精子濃度が低い。
・飽和脂肪酸の摂取が多かったグループは少なかったグループに比べて、精子
 濃度が41%低い。
・一価不飽和脂肪酸の摂取が多いグループは少ないグループに比べて精子濃度
 が46%低い。
・オメガ6脂肪酸が多いグループは精子の運動率が高い。
・オメガ3脂肪酸が多いグループは精子の形態が良好。

▼コメント

飽和脂肪酸が多いのは、肉(獣肉)や加工肉食品、乳製品で、一価不飽和脂肪
酸は、オリーブオイルやサフラワー油、なたね油なんかの植物油やアボカド、
ピーナッツバターに多く、オメガ6脂肪酸は、サラダオイルやゴマ油、コーン
油などの植物油に、オメガ3脂肪酸は、魚の油や亜麻仁油、しそ油、えごま油
などに多く含まれています。

私たちは、油そのものを飲んでいるわけではないので、毎日、何を、どれくら
い食べているかで、どんな油を、どれくらい摂取するかが決まります。

そして、そのことが、男性の精子の数や運動率、形態に影響を及ぼすというこ
とです。

その影響度合いは、精子濃度で40%ちょっととのことですが、もしも、精子
濃度が5000万以上の男性であれば、影響を受けても、さほど問題ありませ
んが、3000万以下の男性であれば、2000万を切ってしまいます。

つまり、食生活による影響で、乏精子症になってしまうこともあるわけです。

また、油の摂り方については、特定の油をたくさん摂ればいいということでは
決してありません。

大切なのは、偏りなく摂るという、バランスが大切です。


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 血中のトランス脂肪酸濃度と体外受精の治療成績との関係
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⇒ 血中のトランス脂肪酸の濃度が高い女性ほど、体外受精の成功率が低い。

▼ハーバード公衆衛生大学院の研究チームによる試験

◎対象者は?

体外受精を受けている女性100名

◎どんな方法で?

血中のトランス脂肪酸濃度を測定し、体外受精の治療成績との関連を調べた。

◎結果は?

・トランス脂肪酸の濃度が高い女性ほど、体外受精の出産率が低い。
・18:2トランス脂肪酸濃度の高いグループは、治療周期あたりの出産率
 が、普通のグループに比べて10%、低いグループに比べて18%、それ
 ぞれ、低い。
・18:2トランス脂肪酸濃度の高いグループは、移植あたりの着床に失敗
 する確率が、治療周期あたりで3.6倍、移植あたりで6.7倍高い。

▼コメント

トランス脂肪酸とは、植物油に水素を添加して、マーガリンやショートニン
グなどを製造する過程で出来てしまう、天然には存在しない脂肪酸のことで
す。これまで、大量に摂ると、悪玉コレステロールを増やし、心臓疾患にか
かりやすくなることから、使用を規制する国が増えています。

この体に悪いとして、悪名高いトランス脂肪酸ですが、今回、初めて、体外
受精の治療成績との関連を調べた試験が実施され、トランス脂肪酸をたくさ
ん摂る女性は、体外受精でお子さんを出産する確率が低いことを明らかにし
ました。

トランス脂肪酸を多く含むのは、マーガリンやショートニングを含むスナッ
ク菓子やクッキー、パン、ビスケット、また、ファーストフードなど。

とにかく、妊娠を望む女性は、トランス脂肪酸を摂らないように注意したほ
うがよさそうです。

18:2トランス脂肪酸とは、トランス脂肪酸の一種です。


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 血中の多価不飽和脂肪酸濃度と体外受精の治療成績との関係
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⇒ オメガ3脂肪酸濃度が高いほど胚の形態がよい

▼南カリフォルニア大学ロスアンジェルス校の研究チームによる試験

◎対象者は?

体外受精を受けている女性42名(平均年齢38歳)

◎どんな方法で?

月経周期3日目の多価不飽和脂肪酸の血中濃度を測定し、体外受精の治療成
績との関連を調べた。

◎結果は?

・オメガ3脂肪酸DHADPA濃度が高い女性ほど良好な形態の胚が多い。
・多価不飽和脂肪酸濃度と妊娠率については相関関係は見られない。

▼コメント

不飽和脂肪酸には、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸があり、体内で代謝さ
れて、さまざまな身体の機能を調整する物質に変化し、それぞれ、異なる働
きをします。

オメガ3脂肪酸は魚の油や亜麻仁油、しそ油、エゴマ油などに豊富です。

今回、不飽和脂肪酸組成と体外受精の治療成績との関係が初めて調べられま
した。

青魚などのオメガ3脂肪酸を豊富に含む魚を食べたり、亜麻仁油やしそ油、
エゴマ油をドレッシングなどに使うとよいでしょう。


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 原因不明の受精障害へのオメガ3脂肪酸のサプリメントの効果
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⇒ 原因不明の受精障害患者のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は、顕微
  授精後の受精率が向上し、その後の着床率、妊娠率を向上させる。

▼韓国のウルサン大学の研究チームによる試験

◎対象者は?

顕微授精を受けている原因不明の受精障害の98名の不妊患者

◎どんな方法で?

1日1000ミリグラムのオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂るグループと
対照グループにランダム分けて、顕微授精の治療成績を比較した。

◎結果は?

・採卵個数は変わりなかったが、受精率は、サプリメント摂取グループでは、
 76.5%、対照群は50.4%だった。
・着床率や妊娠率もサプリメント摂取グループが高かった。

▼コメント

オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することで、受精率や着床率、妊娠率
が向上したとのことですが、その原因については言及されていません。

オメガ3脂肪酸であるDHAEPAを摂った妊婦から生まれた子どものIQ
が、コーン油を摂っていた妊婦の子どもに比べて有意に高かったとの報告も
あり、妊娠前からDHAEPAのサプリメントを摂る価値があるようです。


以上、66回アメリカ生殖医学会の学術集会にて発表された、油の摂り方が
妊娠する力や妊娠させる力に及ぼす影響についての4つの発表をご紹介しま
した。

油の摂り方についてまとめてみますと、

・全体には、脂肪の過剰摂取に気をつけ、バランスよく摂取すること。

・トランス脂肪酸は極力摂らないように気をつけること。

・魚の油などのオメガ3脂肪酸は積極的に摂るようにすること。

尚、サプリメントでDHAEPAを摂る際には、重金属汚染が懸念されます
ので、原料や製造レベルについては、信頼のおける製品を選ぶことです。

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 編 集 後 記
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油は、毎日、数十グラム単位で摂っているそうです。

油そのものを、ごくごく飲んだりはしませんが、たとえば、ご飯だけを食べ
ても、パンだけを食べても、油を摂っているそうです。

そんな油ですは、おそらく、一般に抱くイメージは、エネルギー源としての
油で、摂り過ぎれば太るというものでしょう。

ところが、油はエネルギー源になるだけでなく、細胞膜を構成したり、体内
でホルモンのような生理的に活性のある物質に変化するのです。

そのため、量だけの問題ではなく、質の問題、すなわち、どんな種類の油を
摂っているかという、摂取バランスの問題がとても大切になってくるのです。

そして、摂取バランス次第では、生殖能力を低下させたり、反対に、高めた
りすることが、次第に分かってきたということです。

アメリカ生殖医学会で発表された研究報告で、油を正しく摂ることの大切さ
を、改めて痛感させられました。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.386
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・合計部数:5,584部(10月31日現在)
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