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VOL.320 睡眠ホルモン「メラトニン」に注目

2009年07月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり VOL.320 2009年7月20日配信
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                      http://www.akanbou.com
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
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---[目次]-----------------------------------------------------------

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7月13日から7月18日までのサイト版「妊娠しやすいカラダづくり」

▼今週の特集
睡眠ホルモン「メラトニン」に注目

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▼編集後記

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           今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2009年7月17日 妊娠報告
4回の顕微授精の後、自然妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2009071701.html
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2009年7月16日 最新ニュース
AID(非配偶者間人工授精)の年齢別累積出産率 
http://www.akanbou.com/news/news.2009071601.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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             今 週 の 特 集

        睡眠ホルモン「メラトニン」に注目
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私たち、人間は、
太陽がのぼり、明るくなると、活動的になり、
日が沈んで、暗くなると、眠くなるという、"昼行性動物"です。

私たちの生活は、
太陽の光に支配されているというわけですが、
そこには、"睡眠ホルモン"と呼ばれる「メラトニン」が介在しています。

暗くなったことを目から察知すると、
脳の中の松果体からメラトニンが分泌され、
身体に"眠りなさい"という信号が送られます。

そして、朝になり、明るくなると、その分泌が止まります。

つまり、夜になると眠くなり、明るくなると目覚めるのは、
「メラトニン」というホルモンが演出しているのです。

この「メラトニン」が、生殖医療において注目されつつあります。

★メラトニン濃度と卵の質の関係

実は、メラトニンには、睡眠を演出するだけでなく、
活性酸素を抑制する抗酸化作用を有することが知られています。

そうです、細胞を傷つけ、老化の主因とされている活性酸素です。

山口大学医学部産婦人科の杉野教授らは、
メラトニンの抗酸化作用に注目し、
卵胞液中のメラトニン濃度と卵の質について、
さまざまな基礎研究や臨床試験の結果を発表しています。

例えば、一例を以下に紹介します。

◎メラトニン摂取で体外受精における受精率、妊娠率が上昇

前回の体外受精が不成功に終わり、
受精率が50%未満であった115名の女性を2つのグループに分けて、
一方のグループ(56名)には、
採卵前周期の月経5日目から採卵日の前日まで、
1日3ミリグラムのメラトニンを摂取してもらい、
もう一方のグループ(59名)にはメラトニンは摂取せず、
前回の体外受精と比べて、変性卵率や受精率、妊娠率を比較しました。

その結果、メラトニンを摂取したグループでは、
前回の体外受精周期と比べて、
変性卵率は低下、受精率が上昇、
19.6%の妊娠率であったのに対して、
メラトニンを摂取しなかったグループでは、
受精率の改善は見られず、妊娠率が10.2%だったとのこと。

杉野教授らのグループでは、
これまでの研究で、以下のことを確認しています。

・排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げる。

・メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護している。

・メラトニン投与が実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる。

メラトニンの抗酸化作用は卵胞液中で卵を守っていると考えられ、
実際にメラトニンを摂取することで、
受精率や妊娠率がよくなることを確認したと言うのです。

★妊娠しやすいカラダづくりという観点から

もちろん、不妊治療でのメラトニンの有効性については、
未だ研究途上にあります。

また、メラトニンは、
アメリカでは、サプリメントとして認められていますが、
日本では、認められていません。

個人輸入などで簡単に入手できますが、
ビタミンなどと違って、ホルモンなわけですから、
安易に利用することはお勧めしません。

あくまで医師の管理下で利用すべきものです。

ところが、メラトニンに、
強い抗酸化作用があることは、
専門家の間ではよく知られたことです。

そもそも、睡眠には、
カラダの"休息"だけでなく、
カラダの"修復"という役割もあります。

睡眠ホルモンであるメラトニンに、
生殖細胞を保護する働きが備わっていると考えるのは、
とても自然なことのように思われます。

実際に、良質な卵を育むのは自然で、規則正しい月経サイクルです。

女性の看護師を対象にした研究で、
深夜勤務の翌日は血中のメラトニン濃度が低くなる傾向にあること、
また、夜間に働く女性は、
夜間に働かない女性に比べて、
月経不順になりやすいことが分かっています。

そこで、妊娠しやすいカラダづくりという観点から、
睡眠ホルモン「メラトニン」に注目してみたいと思います。

つまり、メラトニンの分泌を高め、
メラトニンの働きを活性化すような生活を通じて、
私たちに備わった"妊娠する力"を高めようというものです。

★メラトニンの働きを高める生活法

メラトニンについては、既に、さまざまな研究がなされています。

そもそも、メラトニンは睡眠ホルモンなわけですから、
メラトニンの自然で、正常な分泌で、質の高い睡眠が得られ、
心身の健康に大きく寄与することは間違いありません。

さらに、卵の質をよくし、
不妊治療の成績を向上させる可能性が、
指摘されだしてきたわけですから、
私たちは、これまでの研究で明らかにされている、
メラトニンの分泌をよくするライフスタイルを取り入れればよいわけです。

■最重要キーワードは「生活リズム」

メラトニン活性のポイントは、ずばり、"リズム"です。

そもそも、このホルモンは、
太陽が昇れば、分泌され、太陽が沈めば、止まるのです。

すなわち、大自然のリズムによって分泌されるわけですから、
夜行性傾向が強くなるほど、
メラトニン活性度が低下してしまいます。

▼夜は12時までに寝る

メラトニンの分泌は、午前0時から午前2時の間にピークになります。
ですから、遅くとも夜は12時までにベッドに入ることです。

▼夜は暗くして寝る

夜でも照明などで明るくしているとメラトニンの分泌が抑制されます。
暗くして寝ることで、メラトニンがしっかりと分泌されます。

▼朝は決まった時間に起きる

朝は決まった時間に起きることで睡眠のリズムが整います。
前夜にどうしても夜更かしせざるを得なかった場合でも、
いつもと同じ時間に起きることが大切です。

▼目覚めたらかならずカーテンを開ける

朝に光を浴びることで、メラトニンの分泌が完全に止まり、
メリハリをつけることができます。

▼朝食はかならず食べる

身体や脳にエネルギーを行き渡らせることで、
1日のスタートのメリハリをつけます。

■メラトニンの材料を食事から摂る

日本ではメラトニンはサプリメントとして認めれていません。

ただし、メラトニンはトリプロファンというアミノ酸の一種を原料にして、
太陽が沈むころから合成がはじまります。

ですから、トリプトファンを食事から摂るように心掛けることです。

▼良質のたんぱく質を摂る

トリプトファンは、アミノ酸の一種ですから、
すべてのたんぱく質食品に含まれています。

▼トリプトファンを多く含む食材

中でも、豆腐(大豆食品)、チーズ、バナナ、アーモンド、
カツオやマグロ、牛肉の赤身などに多く含まれます。

▼メラトニンが含まれる食材

メラトニンそのものが含まれる食べ物もあって、
ケース、お米、レタス、白菜、キャベツなどです。

ただし、特定の食品や食材を意識して多く食べることよりも、
万遍なく、バランスよく食べることが大切です。

■要注意なメラトニンを減らす食べ物や飲み物

反対にメラトニンを減らす食べ物もあります。

▼カフェインやお酒、たばこ、そして、ストレス

コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェイン、
そして、タバコやお酒には、メラトニンを抑制する働きがあります。

これらの過剰な摂取は控えたいものです。

そして、食べ物ではありませんが、
ストレスも、メラトニンを抑制します。

■リズム運動

生活リズムが大切だと言いましたが、
リズムを伴う運動もメラトニンの分泌を活性します。

▼朝のウォーキング

朝に太陽光を浴びながら、
一定のリズムでウォーキングするのがベストです。

▼複式呼吸

長くゆっくりした複式呼吸はメラトニンの分泌を増やします。

★質の高い睡眠が大切

いかがでしょうか?

規則正しい生活のリズム、
バランスのよい食生活、
そして、リズムを重視した運動、
ストレスマネージメントと、
メラトニンを活性化させるライフスタイルは、
結局、至極、当たり前な生活でした。

特に、夜早く(12時までに)寝て、
朝、毎日きまった時間に早く起きること、
早寝早起きなんて、まるで、小学生の夏休みの心得のようです。

現代社会では、24時間のサービスが当たり前になって、
その日のうちにベッドに入ることは珍しいことなのかもしれません。

ところが、当たり前で、シンプルなことほど、その効果は強力です。

早く寝て、早く起きることに、お金はかかりません。

私たちは、これまで早寝早起きの効力を何度も目の当たりにしてきました。

「睡眠ホルモン」メラトニンが卵を守っていたようです。

"寝る子は育つ"、ならぬ、"寝ると卵は育つ"ということですね。

メラトニン、恐るべし!です。

---[参考文献]-----------------------------------------------------

・難治性不妊症とその対策 産婦人科治療 Vol.98 No.2 2009

・生殖機能調節における活性酸素の役割 日産婦誌 58 N342 2006

・Increased endogenous level of melatonin in preovulatory human
follicles does not directly influence progesterone production
Fertility and Sterility 80 1012-1016 2003

・メラトニントレーニング 有田秀穂 かんき出版

・奇跡のホルモンメラトニン Russel J. Reitaer, Ph. D. 講談社

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 編 集 後 記
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日常では、ついつい、自分が、把握できる、
或るいは、コントロールできる範囲で、
物事の因果関係を捉えてしまいがちです。

ただ、少し、冷静に考えてみれば、
人間の営みは、自然のサイクルに、がっちりと組み込まれていることは、
考えてみれば当然のことですね。

生殖機能もまったく例外ではないようです。

メラトニンのことを調べていて、
以前、イギリスで体外受精の成功率は、
日照時間の長い季節のほうが高いとの報告がなされていることを、
思い出しました。

自然のうつろいが生殖機能に強く影響を及ぼすということは、
とりもなおさず、新しい生命の誕生は、
新しい生命にとって、ベストなタイミングであることに他なりません。

ただただ、感謝あるのみ!ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.320
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◎発行部数
・自社配信: 286部
・まぐまぐ:5,358部
・合計部数:5,644部(7月20日現在)
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【編 集】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)  
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