ドクターにインタビュー

vol.23

[4]チーム医療の実現

林 伸旨 先生(岡山二人クリニック理事長)

林 伸旨

[4]チーム医療の実現

細川)
林先生が中心になって構築してこられた診療支援システムは、他の生殖医療に携わるクリニックから見学にこられるだけでなく、導入を希望されるところには積極的に提供されていらっしゃいます。
Dr.)
生殖医療を的確にスムーズに提供するためには診療自体のシステムだけでなく、予約、呼出し、会計、情報提供など様々な診療支援システムが必要です。2013年に「日本生殖医療支援システム研究会」を立ち上げ、システム自体やその運用、またマンパワー養成などの情報交換を目的に毎年研究会を開催しています。
細川)
日本を代表する生殖医療機関が参加されていますね。
Dr.)
より確実でスムーズな医療提供は、どの医療機関にとっても大きな目標ですね。いくらシステムを導入しても、実際には運用する職員がいて初めてよりよい医療の提供に役立つわけですから。
細川)
はい。
Dr.)
生殖医療はチームで提供する、チーム医療です。職員、すなわち、チームのメンバーは患者情報を共有し、自院のプロトコールに則って医療提供を行う必要があります。これができなければ、説明する内容がそれぞれの場面で違ってしまい、患者さんを混乱させてしまい、責任をもっての医療提供が出来なくなってしまいます。
細川)
同じ施設でもドクターによって言われることが違うので困ったという話はよく聞きます。
Dr.)
情報共有システムがあって、その中に共有化すべき情報が用意されていても、スタッフによって患者さんに伝えられる情報がバラバラであれば意味がありません。
細川)
やりとりされる中で使用される情報こそが大切だと。
Dr.)
こうして情報提供したとしても、患者さんによっては理解度は異なります。
細川)
そうですね。
Dr.)
患者さんに説明したり、質問や相談に答えたりする内容が職員によって異なれば医療機関としての医療提供にはなりませんね。追加・更新される組織の知識を、力量をもつ職員が使うことが大切。
細川)
はい。
Dr.)
そのために、1年に1回、すべての職員、ドクターから受付のスタッフに至るまでを対象に筆記試験を実施しています。
細川)
すべてのスタッフの方々が対象なのですか?
Dr.)
開院以来、毎年やっています。開院以来のベテランの看護師から今年入職した受付のスタッフまで全員です。知識として共有化できているか試験を行わなければ確認できないからです。
細川)
驚きました。
Dr.)
治療方針や治療内容のことから、クリニックの運営上、組織として知っておくべきルールなども含めて、全部で200問です。これは知識が身についているか、使えるようになっているかの知識習熟度試験で、これとは別に100項目の自己・上長による技術評価や20項目の組織貢献度評価も行うようにしています。
細川)
チーム全員が情報を共有し、正確な知識として患者さんに対応できてはじめて情報共有化システムが運用されたということになるということですね。

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