ドクターにインタビュー

vol.21

[3]不育症検査の真実

松林秀彦 先生(リプロダクションクリニック大阪院長)

松林秀彦

[3]不育症検査の真実

細川)
それでは、不育症検査について教えてください。
Dr.)
不育症の検査では、血液検査によって、血栓や流産を引き起こしやすくなる抗リン脂質抗体や血液凝固に関わる物質、また、甲状腺ホルモンの異常や糖尿病の有無、そして、夫婦で染色体異常がないかどうかを調べます。
細川)
はい。
Dr.)
その他、画像診断で子宮の形態を調べる検査や不安や抑うつなどの心理機能の検査などもあります。
細川)
検査を通して不育症のリスクファクターの有無や程度を評価するわけですね。
Dr.)
そうです。不育症検査の特徴として、医学的な進歩が著しい分野であることから検査項目が、年々、変わっていくということがあります。
細川)
なるほど。
Dr.)
因みに20年前に行われていた不育症検査の項目で現在も行われているのは半数以下に過ぎません。
細川)
半分以上は入れ替わっているのですか。
Dr.)
そうです。ですから、アップデートは必須なのです。ところが、依然として10年前、5年前のままで不育症検査が行われていることが珍しくないのですよ。
細川)
そうなんですか!
Dr.)
さらに、また、同じ検査でも内科で実施する検査と不育症検査とでは正常とされる値が異なるのですが、これは産婦人科医でもご存知の方がほとんどおられません。不育の基準値は妊娠を維持できるかどうかの基準値で、不育の臨床経験や論文のデータから決めているため、日々の経験と新しい知識が必要不可欠になります。
細川)
なるほど。
Dr.)
それだけでなく基準値が変更されていることもあります。
細川)
そうなのですね。
Dr.)
そのため、患者さんが過去に受けた不育症の検査の結果のデータを持参してもらうことがありますが、異常なしと診断されている場合でも異常があることが少なくありません。
細川)
もはや衝撃的です。
Dr.)
それだけ臨床経験が豊富で、最新の論文を常にチェックしている不育症の専門医が少ないということだと思います。
細川)
なるほど。不育症の診断や治療の環境にはあまり期待し過ぎないほうが賢明なのかもしれませんね。不育症の検査には保険がきかないものが多いことを考えると慎重に施設やドクターを選ぶことが大切ですね。
Dr.)
そう思います。

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