ドクターにインタビュー

vol.19

40代の不妊治療について考える

辰巳賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)

辰巳賢一

【7】さまざまな選択肢を視野に入れながら・・・

細川)
不妊治療の助成金は移行期間を経て、女性の年齢が43歳以上は助成の対象外になることが決まりました。
Dr.)
そうですね。加齢による妊娠率の低下、流産率の上昇が背景にあるわけですが、実際、43歳になると、妊娠するのは本当に難しくなります。
細川)
そうですね。
Dr.)
私は、赤ちゃんを望む方すべてに妊娠してほしいと思っています。ところが、生殖能力には限界があります。いくらがんばっても妊娠できない人もいます。そして、年齢が高くなれば妊娠できない人のほうが圧倒的に多くなります。
細川)
はい。
Dr.)
そのため、43歳以上の患者さんには、むしろどこかで妊娠をあきらめて、子供のない人生を楽しんで頂いた方が良いとさえ思っています。
細川)
はい。
Dr.)
ですから、私は43歳以上で来院された方には体外受精は勧めません。そして、これまでお話してきたように、自然妊娠の可能性があるのだから、毎周期チャンスを逃さない様にするよう指導しています。
細川)
はい。
Dr.)
それも、もし、運よくできれば嬉しいといった程度の期待度で妊娠をトライして欲しいと思っています。
細川)
過度な期待は禁物だと。
Dr.)
そうです。もちろん、不妊治療の最終目的は妊娠だけではなく、子供のいない人生に軟着陸して頂くことも含まれます。どうしても体外受精まではチャレンジして納得したいという方には体外受精をしています。
細川)
あくまで、カップルの納得感が大切だということですね。
Dr.)
ラッキーにも、治療により最終的に妊娠出産できる人も5%程度はいます。ただ、95%の方は妊娠できないわけで、高齢の方には、最も妊娠の可能性のある治療を選択しながらも、どのようにして治療を終結してもらおうかといつも考えています。
細川)
40代からの不妊治療においては、授かればラッキーというくらいのスタンスで、さまざまな選択肢を視野に入れつつ取り組むということですね。
Dr.)
そうですね。
細川)
多くのカップルに辰巳先生のメッセージが届くように心から願っています。本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして本当にありがとうございました。
■この章のポイント
40代からの不妊治療においては、授かればラッキーというくらいのスタンスで、さまざまな選択肢を視野に入れつつ取り組むことが大切。

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