ドクターにインタビュー

vol.19

40代の不妊治療について考える

辰巳賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)

辰巳賢一

今回のテーマは、「40代の不妊治療について考える」です。

晩婚化の影響で、不妊治療をはじめる女性の年齢が、年々、高くなっています。そのことの一番の問題は女性の年齢が高くなればなるほど妊娠しづらくなるということです。卵子も一緒に老化するからです。そして、たとえ、体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療(ART)といえども、卵子の老化による妊娠率の低下に対しては有効な手だてにはなり得ていません。

つまり、現在、最も有効な治療法であるとされているART(高度生殖補助医療)でさえ、高齢女性では1回あたりの治療で妊娠できる確率は低く、その結果、治療期間が長くなり、最終的に結果を出せない可能性も高くなってしまうという現実があるということです。

であれば、高齢女性の不妊治療では、ひたすら、ARTを繰り返すしか、最終的に妊娠に至る確率を高める方法はないのでしょうか?もしも、そうだとすると、大きな肉体的、経済的、そして、精神的な負担に耐えることを覚悟しておかなければなりません。

いずれにしても、高度な生殖医療技術による効果がさほど期待出来ない中で、高齢で、特に40代から不妊治療に臨むにあたって、どのように治療に臨めばいいのかを考えるためには、従来の不妊治療に関する情報だけでは不十分であるように思えてなりません。

そこで、梅ヶ丘産婦人科院長の辰巳賢一先生にお話をお伺いすることにしました。梅ヶ丘産婦人科では最先端のARTを含めてほとんどの不妊治療を実施しているにもかかわらず、40歳代の妊娠症例の約半分がタイミング法による自然妊娠や人工授精という、一瞬、耳を疑うような結果を出されているからです。

私たちは、40代で不妊治療に臨もうとされているカップル、或は、既に、長期間の治療で卵子の老化と闘っているカップルだけでなく、全てのカップルにその秘訣をお伝えしたい、お伝えしなければならないと強く感じ、先生にご協力をお願いしました。

皆さんの後悔のない不妊治療のきっかけになればと思います。

vol.19 インデックス

★辰巳賢一先生 プロフィール

梅ヶ丘産婦人科院長。医学博士。日本生殖医学会生殖医療専門医。
京都大学医学部卒業。京都大学病院、長浜市立病院、東京大学医科学研究所(生殖免疫学)、京都大学病院(不妊外来、体外受精チーム)、神戸中央市民病院副医長を経て、1991年より梅ヶ丘産婦人科。平成10年~12年には厚生科学審議会先端医療技術評価部会生殖補助医療技術に関する専門委員をつとめ、一般不妊治療から体外受精などの生殖補助医療まで、不妊に関するすべての分野での豊富な知識と経験を持つ。これまでに一万人以上の妊娠に成功している。

■著書「最新 不妊治療がよくわかる本」

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