ドクターにインタビュー

vol.15

オーダーメイドの不妊治療とは? ~ あるべき不妊治療を考える

安部 裕司 先生(CMポートクリニック院長)

安部 裕司

【3】"体外受精にいく迄に妊娠してもらえるか"が腕の見せ所

細川)
先生がおっしゃっているフレンドリーARTについてお伺いします。
Dr)
当院は平成18年開設し、今年で7年目を迎えますが、開設当初より身体と心と経済的に負担をかけない「フレンドリーART」を基本として治療を実施しています。
細川)
身体と心と経済的に負担をかけないと。
Dr)
そうです。昔、先輩に言われたことを今でも教訓にしている言葉があります。それは、「体外受精は誰でも出来る。体外受精にいく迄に妊娠させてあげるのがプロの不妊治療医なのだ。」と。
細川)
あー。
Dr)
体外受精は最も高度な生殖医療であり、最も妊娠率の高い治療法です。ですから、最初から体外受精をやれば多くの患者さんに妊娠してもらうことが出来るわけです。ところが、体外受精にいくまでに妊娠させてあげられるかが不妊治療医の腕の見せ所なのだというわけです。私はこの言葉に大変ショックを受けましてね。
細川)
はい。
Dr)
それ以来、教訓とし、決して、体外受精専門クリニックにはならないと心に決めたわけです。
細川)
不妊治療で最も悩ましいことの一つに、治療をスタートする時点でどこまでの治療で妊娠できるのかを知る方法がないことです。
Dr)
そうなのです。ですから、最初から体外受精をやれば、多くの患者さんに妊娠してもらうことにはなるけれども、不必要な身体や心、経済的な負担を負わせることにもなりかねないわけです。
細川)
もしかしたら、体外受精でなくても妊娠できる患者さんに不要な負担をかけてしまうリスクが伴うというわけですね。
Dr)
そうです。ですから、身体や心、経済的な負担をかけずに、出来るだけ早く妊娠を目指すというフレンドリーARTを基本にするようになったのです。
細川)
それは同時に、個々の患者さんにふさわしい治療方法を見極める、すなわち、この患者さんは体外受精をやらなくても妊娠できるかどうか、また、タイミング指導や人工授精などの一般不妊治療の高い技術や精度が求められるということになるわけですね。
Dr)
そうです。そのためにも、提供する治療レベルにバラツキが生じることのないように、ひとりのドクターが診ることを原則にし、アルバイトの医師にお願いすることなく、土日も休まずに診療にあたっているということです。
細川)
よくわかりました。

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