ドクターにインタビュー

vol.09

ストレスフリーの不妊治療を目指して 〜不妊治療を経験した女医だからこそ、わかること、言えること、できること

田村秀子 先生(田村秀子婦人科医院院長)

田村秀子

【3】今、自分たちにできることを

★年齢によるタイムリミットが気になっているあなたへ

細川)
晩婚化や晩産化の影響により、最近は高齢による不妊の患者さんがとても増えています。
Dr.)
年齢が妊娠する力に最も影響します。 年齢とともに、卵巣内の卵子の数が少なくなるだけでなく、卵子も一緒に年をとりますからね。 年をとること、そして、それに伴う卵巣や卵子の老化には抗うことが出来ませんし、 もちろん、治療することも困難です。 でも、卵巣や卵子の老化は年齢だけが原因ではありません。 いろいろな生活習慣やストレスだって関係しているのですね。
細川)
はい。
Dr.)
どうにもならないことは甘んじて受け入れざるを得ません。 でも、どうにかなることは精一杯やっておきましょう。 きんさん、ぎんさん(※)は、テレビに出るようになって、髪の毛が黒くなったと言います。 いくつになっても心の持ち方一つで身体は若返るということじゃないですか。

※きんさん、ぎんさん
記録的な長寿で話題となった双子姉妹、成田きんさんと蟹江ぎんさんの愛称。100歳を過ぎても元気な姿は国民的アイドルとして慕われた。

細川)
そうですね。
Dr.)
そして、もう一つ大切なことは、夫婦のあり方について考えておくということ。
細川)
夫婦のあり方?
Dr.)
たとえば、夫婦二人だけの人生はまったく意義はないものだろうか? それもそれで一つの人生なのだと思えるかどうかです。 結婚って「あなたと一生一緒にいたい」からするものでしょう? 子どものいない60歳の二人をイメージしておくことも大切です。 それにはご主人とも話しをしないといけませんね。 決して答えを求めようとせず、二人の間に子どもがいない将来について、 どう思っているのか話し合うのです。
細川)
二人だけの生活もありだと。
Dr.)
一方で、二人だけの生活を楽しむという具体的なイメージをもっておくだけで、 気持ちにゆとりが出てくるものです。
細川)
気持ちのゆとりをもって治療に臨めるというわけですね。
Dr.)
子どもを持つということを、ふたりの人生のパズルの最後のピースにしてはいけないのです。
細川)
ふたりの人生のパズルの最後のピースにしてはいけない。
Dr.)
そうです。 不妊治療を終えてからの長い人生で、 他人様の子どもを見るたびに、欠落感で胸が締め付けられる苦しみをずっと味わい続けるのか、 それとも、不妊治療が大切な懐かい思い出になって、 不妊経験があったからこそ、ふたりの人生がより豊かに感じられるようになるのか、 ふたり次第なのですね。
細川)
ふたり次第。
Dr.)
そうです。 そのためにも、今、自分たちにできることを、自信をもって、取り組むことです。
細川)
自分たちにできることをやると。
Dr.)
はい。そして、精一杯取り組んだ自分をほめてあげましょう。

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