ドクターにインタビュー

vol.02

妊娠しやすい夫婦生活とは?~タイミング法にまつわる誤解を正す

辰巳 賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)

辰巳 賢一

【3】 性交の回数が多いほど妊娠率も高くなる訳とは?

細川)
排卵の2日前や前日が最も妊娠の可能性が高くなるとのことでしたが、精子濃度のことを考えれば、何日間か禁欲したほうがよいのでしょうか?
Dr.)
いいえ。毎日性交すると精液が薄くなりはしないかと心配される方がいらっしゃいますが、そのようなことはありません。
細川)
禁欲期間は不要だということでしょうか?
Dr.)
妊娠のチャンスを高めるということから言えば、かえって逆効果になりかねません。実際に、性交の頻度と妊娠率の関係を調べた研究があります。それによると、週に1回の性交では周期あたりの妊娠率は15%なのに対して、1日おきの性交では33%、毎日の性交では37%と、毎日性交すると妊娠率が最も高くなっています。
細川)
性交の回数が多くなるほど、その周期に妊娠できる確率が高くなるのですね。
Dr.)
はい。また、精液の質ということから言っても同じで、精液所見が正常な10,000例を対象にした試験で、毎日射精しても精液の質、精子濃度、運動率には変化は見られなかったとの報告があります。さらに、乏精子症の場合でも、毎日射精した場合、精子濃度や運動率は悪くなるどころか最も高くなるというのです。
細川)
乏精子症の男性でさえ毎日射精するほうがよいというのには驚きですね。
Dr.)
そうですね。反対に5日以上の禁欲は精子濃度の低下をもたらします。
細川)
長い禁欲期間は、精液中に古い精子が増えてしまい、かえって、精液の質が悪化してしまうのですね。
Dr.)
適度な頻度で射精しておくことは新鮮な精子をつくりだすためにも大切なことです。

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