編集長コラム

細川 忠宏

妊活情報は集めれば集めほど内容が偏る

2018年01月15日

私たちはお子さんを望むカップルのためのサプリメントを医療機関や自社サイトを通して提供しています。

そこでは、電話やメールによる個別相談に応じていますので、毎日、多くのメールや電話をいただくのですが、最近、同じような内容の問い合わせが増えていることに気づきました。

それは、ここでは、「なぜ」、マカやイソフラボン、プラセンタ、ミトコンドリアサプリなどの「妊活サプリ」を取り扱わないのかという主旨の質問です。

そんな質問に、度々、遭遇するようになってわかってきました。

不妊や妊娠にいい!というキャッチで販売されていたサプリメントや健康食品たちが、いつの間にか、「妊活サプリ」というカテゴリーでくくられるようになったということを。

これは、おそらくは、ネットマーケティングでいうところの「レコメンデーション」機能が拍車をかけることになったのではないかと思っています。

それはこういうことです。

レコメンデーション機能というのは、よく、「この商品を買っている人はこんな商品も買っています」とか、「あなたにお勧めの商品」として表示される「アレ」です。

この機能が、相当、進化というか、巧妙になっていて、閲覧者の属性をさまざまな方法で収集し、興味関心のありそうな情報をさりげなく見せて、誘導しているというのです。

つまり、同じワードで検索しても、人によって異なる検索結果が表示されるのです。

たとえば、妊活情報を集めれば、集めるほど、妊活に関連する情報が、知らず知らずのうちに集まってくるようになるのです。

ほとんどの方は心当たりがあるのではないでしょうか。

そして、それらの情報は、ほとんどが販売情報、もしくは、販売を促進するための情報です。

その結果、「妊活サプリ」というカテゴリーが形成されたということは想像に難くありません。

そして、検索にヒットした、どのサイトでも、妊活サプリとして販売されているのを目にしているうちに、不思議なことに飲んだほうがよいのかな、飲もうかな、いや、飲むべきだ!と思うようになってくるのですね。

冷静に考えてみれば、「妊活サプリ」と称されているだけでは、自分に必要なものなのかどうか、なんの判断材料にもなり得ないことはすぐにわかることです。

ましてや、検索でヒットした情報は、ある意味、操作され、都合よく並べ、表示されているわけです。

ところが、後悔しないような治療にしたい!という切実な思いにヒットすると、試してみたいと思ってしまう気持ちになるのもよくわかります。

ただし、それは、あまりに短絡的な考えだと言わざるを得ません。

誤解のないようにお願いしたいのですが、妊活サプリと称されているサプリメントがいいとか、悪いとか、評価したいわけでは、決して、ありません。

そうではなくて、「妊活サプリ」と称されているという理由だけでサプリメントを選ぶことはいかがなものかということを言いたいのです。

そして、ネット上の情報は、ある意図でつくりあげられるという側面がある、妊活情報は集めれば集めほどに偏りも大きくなる面があるということを知っておいたほうがよいと。

どんな目的でサプリメントが必要なのか、そして、どのサプリメントを選べばいいのか、自分で考えるということに他なりません。

もちろん、それはサプリメントに限らないことです。

接する情報が多くなれば、なるほど、それらを鵜呑みにせず、自分にとっての要不要の程度や取捨選択するための自分の基準を堅持することが、ますます、大切になってくることを痛感します。