編集長コラム

細川 忠宏

「少しの勇気」と「楽しむ心」

2014年08月04日

運動のダイエット効果について、とても興味深い、最新の研究結果が報告されています。

それによると、全く同じ運動でも、「運動した」と思ってやるのと「楽しんだ」と思ってやるのとでは、減量効果が違ってくるというのです。被験者をランダムに2つのグループに分け、一方のグループは「今から運動します」と、もう一方のグループは「今から美しい風景を楽しむ散歩をします」と、それぞれ、言われ、ウォーキングしてもらったところ、その後のランチで、「運動をした」と認識しているグループは「風景を楽しんだ」と認識しているグループに比べて、食後のデザートを食べる量が多かったとのこと。

デザートの食べる量以外でも、運動後の食事の量を調べる試験も行われていて、その結果も、「運動をした」と思ってるグループのほうが、「楽しんだ」と思っているグループよりも、たくさんの量を食べたそうです。「運動をした」と思って運動すると、頑張った自分へのご褒美として、食べ過ぎてしまうのではないかというのが論文筆者の見立てのようです。

人間には「報酬システム」が備わっているので、意識するしないにかかわらず、そのシステムが働くようです。「運動をした」感は、幸福感よりも、疲労感を伴うので、デザートに手が伸びてしまうと。

いずれにしても、運動はダイエットに有効とされていますが、それは、あくまで、カロリーを消費するからという「机上の理屈」であって、「実際に」
減量出来るかどうかは、取り組み方次第だというわけです。

このことを「妊活」にあてはめてみるとどうでしょうか?

「妊活をした」感は、頑張った自分へのご褒美になにを求めるのでしょうか?

もしも、簡単に手に入るものであればなんの問題もありませんが、自分の思い通りにならないものならば、ストレスが溜まる一方になるリスクを伴うと
いうことになります。

もしも、そのストレスが妊娠を遠ざけるようなことになれば全く本末転倒的です。

必要なことは、「妊娠のための活動」を、いくら頑張って、努力しても、「妊娠」に反映されるとは限らないことを自覚すること、そして、今まで「妊娠するため」と思って取り組んでいたことを、「楽しんで」取り組むようにするという、至極、単純なことです。

論文筆者はこんなことも指摘しています。自分が楽しいと思えることに取り組むことが、結局、「最も効果的」であると。

大切なのは「少しの勇気」と「楽しむ心」だけなのかもしれません。