編集長コラム

細川 忠宏

後悔しない選択ということについて考える

2011年12月21日

今年も残すところあと2週間、この1年を振り返ったり、来年のことを考えたりする時期になりました。

いろいろなことを考えると思いますが、赤ちゃんがやってくるのを待っているカップルにとっては、結局は、"後悔しない選択"というテーマになるのだと思います。

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不妊治療が進歩し、不妊治療クリニックも増え、治療の方針や方法が増えているのに、全体の治療成績はと言うと、年々、下がり続けています。

また、"妊娠によいとされるコトやモノ"について、さまざまな情報が氾濫していますが、確かさに乏しいものが多いようです。

そして、本当に切ないことに、とにかく頑張って、治療を続けていさえすれば、いつかは、妊娠、出産が保障されているというわけでもありません。

これらには、お子さんを望まれる女性の高齢化、そして、個人が接する情報量の急増ということがあると思うのですが、とにかく、"不利な闘い"を強いられているわけです。

でも、『自分たちの赤ちゃんが欲しい』、そして、『自分たちの赤ちゃんに思いっきり愛情を注いであげたい』という、人として、当たり前で、自然な願いは、単に、"有利か不利か"とか、"損か得か"だけで、揺らぐものではありません。

であればこそ、後々、後悔しないということが一番大事なことであり、そのためにはどんな選択をすればよいのか、このことに一番知恵を絞るべきだと思うわけです。

ただし、後悔しない選択と言っても、簡単なことではありません。

このメルマガを毎週末配信するようになって、かれこれ、9年になります。

『こんなはずじゃなかった・・・』、『あの時、ああしておけばよかった』という、いろいろな小さな後悔について、それはもう、たくさんのメールをいただき、話しを聞かせてくれました。

そんなやりとりの中で、感じたり、教えられたりしたことを、整理してみたいと思います。

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クリニックによって、先生によって、言うことが違ったり、ネット上には、同じ悩みを抱える人たちのさまざまな体験談があったり、メディアでは、いろいろな"妊娠にいいもの情報"があったりして、『どれ(誰)を信じればいいのかよくわからない』との相談がよくあります。

本当に、その通りだと思います。

でも、よくよく考えてみると、それって、当たり前です。

専門的なことや他人の体験を聞かされても、それを信じていいかどうかなんてわからなくて当然だからです。

それよりも、さまざまな情報を、そのまま"選択肢"ととらえていることに無理があるように思います。

つまり、問題は、"わからないこと"ではなくて、"自分たちの選択を他人にゆだねようとしていること"だと思うのです。

たとえ、偉い先生でも、また、有名な会社でも、多数意見でも、自分たちの選択をゆだねるべきではありません。

専門家の意見やアドバイスにしろ、メディアの情報にしろ、それらは、"信じる対象"や"選択肢"ではなく、自分たちにふさわしい選択について考えるための"材料"にしか過ぎません。

くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、先生や周囲の人たちを信じてはいけないと言いたいわけではありません。

そうではなくて、盲目的に信じてしまうと、後々、後悔してしまいかねないということを言いたいだけです。

大切なこと、やるべきことは、材料を集め、それらの違いを比較し、そして、どれが、自分たちにふさわしいのか、どれが、自分たちが信ずるに値するかのかについて、ちゃんと考えることでしょう。

まずは、自分たちを取り巻く環境を、正しく把握することからはじめるという順番が大切なのだと思います。

全ての情報は、そのための材料ととらえてみてはどうでしょうか?
おおよそ、後悔というのは、自分たちが全力を尽くせなかった、そんなところからくるように思えてなりません。

そして、全力を尽くすための前提や順番があるのではないか、そう思うのです。