編集長コラム

細川 忠宏

ストレスフリーの不妊治療のために

2010年10月11日

私たちが運営する3キャリアの携帯公式サイト、「おしえて!不妊ナビ」の会員を対象としたアンケートで、不妊治療中の悩みについて尋ねたところ、"ストレス"と答えた方が最も多く、次いで、"経済的負担"、"仕事との両立"という順でした。

不妊治療にはストレスがつきもの、このことに異を唱える人は少ないでしょう。

ですから、当然の結果なのかもしれませんが、今更ながら、"治療環境"の大切さを痛感させられました。

不妊治療に臨むにあたって、"心の準備"や"資金計画"、そして、"段取り"を整えることが、とても大切だということです。

特に、ストレスについては、治療成績にも影響を及ぼすことが、いくつもの研究で明らかなっています。

不妊治療を休んだり、止めたりした途端、妊娠することがよくあるというのも、ストレスから解放されたということなのかもしれません。

ただ、ストレスといっても、専門家の心理カウンセリングを受けるほどのこともないし、かと言って、気晴らし程度で何となく紛らわせられるものでもなく、ストレス対策とか、心の準備とか言っても、簡単なことではありません。

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京都の不妊治療専門クリニック、田村秀子婦人科医院院長の田村秀子先生は、「不妊治療は妊娠を目的に受けないほうがいい。」とアドバイスされます。

「?」という感じですよね。

そもそも、不妊治療は赤ちゃんが欲しいから受けるわけです。

それを妊娠を目的にしないほうがいいとは・・・。

でも、田村先生の意とするところは明解です。

たとえば、山に登るとしましょう。

登山という行為は頂上を目指して山を登ることに違いありません。

でも、頂上にたどり着くことだけを思いながら登っていると、まだ、上があるとわかったときにはどうでしょう?

相当、がっくりきます。

草花を愛で、景色を楽しみつつ、淡々と登り、いつの間にか頂上についていたというのが理想ではないでしょうか。

同じように、不妊治療を受けるということは、もちろん、妊娠を目指して通院することに違いありません。

でも、妊娠することをだけを思い治療を受けていると、生理がきたときのショックはとっても大きく、ストレスになってしまいます。

妊娠を目的とした治療ではなく、もっと言えば、妊娠を目的とした生活ではなく、淡々と通院していたら、いつのまにか妊娠していたというのが理想でしょう。

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妊娠を目的としない生活とか、淡々とした通院とか言われても、すぐにはピンとこないかもしれません。

でも、田村先生はこうもおっしゃいます。

「不妊治療を受けるということは、
  自分たちの生活が、今、どんな状態なのか、
  自分たちは、何のために、生活しているのか、
  自分たちは、何を大切に、生活しているのかを、
  ふたりで考えたり、見直したりするチャンスなのよ。」と。

考えてみれば、本来、誰しも妊娠するために生活しているわけではありませんし、その必要もありません。

妊娠を最優先した生活が妊娠という結果を招くわけでもありません。

そうしなくても赤ちゃんはやってくるときにはやってくるものでしょう。

でも、不妊に悩んだり、治療を受けるようになると、妊娠するための生活、妊娠を目的とした生活になってしまって、その結果、不必要にストレスを大きくしてしまい、皮肉にも、もっと妊娠しづらくなってしまう。

そんな、不妊治療の負のスパイラルとも言える、悪循環に陥ってしまうわけです。

セックスは、妊娠を目的としたものではなく、ふたりが互いの思いを交換するためのものではなかったのか。

ふたりの生活は、不妊治療を目的としたものではなく、ふたりが、笑い、楽しみ、認め合い、助け合い、そんな時間を共有するために、一緒になったのではなかったのか。

ところが、セックスそのものがなくなったり、あろうことか、義務化してしまったり、日常で、お腹の底から笑ったり、時間を忘れて楽しんだりすることが減ってしまい、さらには、治療に協力的か、非協力的かが問題になってしまったりするのは、自分たちの大切な生活が、
妊娠を目的としたものになってしまったからではないでしょうか。

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最近、思いっきり笑うことが少なくなったと感じたら、妊娠することが最優先の生活になっているのかもしれません。

もしも、そうであれば、生活の質を高めるチャンスです!

なぜ、ふたりが一緒に生活しているのか、ふたりにとって最も大切にしたいものか何なのか、今一度、ふたりで考え、見直してみてはいかがでしょうか。

そして、自分たちらしいやり方で、生活を充実させることから始めてみませんか?