編集長コラム

細川 忠宏

冷静な対応のための正しい情報について考える

2009年05月03日

世は、大型連休の真っ最中ですね。

これをお読みの皆さんも、それぞれに、楽しんでいらっしゃることと思いますが、新型インフルエンザの状況も気にしつつ、と言った感じでしょうか?

ニュースをみていると、特に、政府や自治体関係の記者会見なんかでは、最後は、お約束のように、「正しい情報で、冷静な対応をお願いします」と、締めくくられていますよね。

そんなフレーズを耳にする度に思ったのですが、案外、正しい情報って、語られないものなんですね。

もちろん、現段階では、新型インフルエンザの感染力や毒性について、よく分かっていないことから、偉い人たちほど、いい加減なことは言えないものなんでしょうけど、ニュースで流されているのは、ほとんど、"どこで、何人、感染し、亡くなっているのか"です。

このようなニュースのソースって、ほとんど、限られているでしょうから、どのニュースも同じ内容になってしまうものです。
ところが、"繰り返し、念を押されているところの正しい情報"とは、決して、現在の感染者の"正しい"数でもなければ、過去のパンデミックの"正しい"死亡者数でも、ましてや、メキシコの人たちが、全員、マスクをつけている映像でもないと思うのです。

その手の情報や映像から、イメージされ、連想されるのは、"最悪のこと"であって、決して、"冷静な対応"には繋がりそうもないからです。

そんなことよりも、新型であろうと、旧型であろうと、インフルエンザウイルスって、どのように感染するのかについての正しい情報が知りたいものです。そのことを知らない限り、自分で、自分や家族を守るために、どんな行動をとるべきなのか、自分で、判断しようがないですからね。

例えば、インフルエンザウイルスは、「空気感染」ではなく、「飛沫感染」や「接触感染」で感染するということ。

すなわち、感染者の数メートル以内に近づかない、そして、感染者の接触したものを直接さわらなければ、感染する可能性は低いということ。

そして、感染の可能性がある場合、徹底して、うがいと手洗いを正しい方法で行う。
また、新型インフルエンザウイルスは、いったん、おさまっても、ウイルスはなくならないので、再び、大流行する可能性が高く、"備えあれば、憂いなし"だということ。

このあたりを、正しく認識しておけば、自分や家族のために、有効な手を打つことが可能になるはずです。

さて、前置きがずいぶん長くなってしまいましたが(苦笑)、「正しい情報で、冷静に対応する」ことって、思うように授からない期間が長くなってしまった、赤ちゃんを望んでいらっしゃる夫婦にとっても言えるように思うのです。

治療についてのテクニカルな情報やデータだけでなく、どんな方法が、自分たち夫婦の身体の状態にとって、必要で、有効なのか、あるいは、自分たち夫婦の価値観や生き方に照らして、どんな選択がふさわしいのか、そのことを判断するための情報こそ、冷静な対応のための"正しい情報"ではないかと思うわけです。