「不妊治療のいい病院」について考える
2005/8/1
 

週刊朝日の最新号(7/22号)では、
全国「不妊治療のいい病院」というタイトルで、
“医師や患者の意見をもとに探った「いい病院」”を探す目安として、
東日本の125施設の人工授精、体外受精の実施件数や初診患者数、
カウンセリングの有無、出産対応等を公開しています。 http://opendoors.asahi.com/data/detail/6817.shtml

次号(7/19発売)では、西日本の施設のデータが掲載される予定です。

不妊治療を受ける際の最大の悩みの一つは、
いったい、どの病院がよいの?、だと思います。

アメリカやイギリスでは、
不妊治療を実施する全ての施設の治療毎の年間の実施数や年齢別妊娠率等が、
公的機関によって、完璧に公開されています。

それにくらべると、日本の行政は、
どうも、不妊患者の側に立った視点が乏しいようで、
その環境整備は、全く、遅れていると言わざるを得ません。
公的機関から公表されている数字は、
登録されている不妊治療施設全体の数字のみです。 http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/Rinri/Rinri_report5701.pdf

そうは言っても、不妊の悩みは現在進行形なわけですから、
そんな、日本の行政の姿勢に愚痴をこぼしていても仕方のないこと。
使える情報を、自分たちなりの“眼”でもってチェックし、 活用していくしかありません!!

そういう観点から言えば、 今回の週刊朝日の特集は“使える情報”だと思います。

この特集の最大の目玉は、
不妊治療施設の年間のそれぞれの治療実施件数や初診患者数を、
比較可能なデータとして公開していることです。

それぞれの治療の1年間の実施件数は、
クリニックを選ぶ際の有効な目安の一つになり得ます。

なぜなら、やはり、件数の多さ=経験の豊富さ=技術の高さ
という図式が成り立つからです。
記事中にも、体外受精の場合、1日に1件以上は実施していないと、
医師の感覚や技術の維持が難しいことから、
年間300件以上が目安になるという見解を紹介しています。

そして、初診患者数は、 そのまま、その施設の“人気度”ととらえることが出来ます。

このように、それぞれのクリニックの高度な不妊治療技術や評判を、
ある程度は推し量ることが出来るのではないでしょうか。

もう一つ、注目すべきポイントがあります。

それは、初診患者数と人工授精、体外受精の実施数の割合です。

高度な治療にステップアップする際の基準の施設毎の“甘さ”が、
ある程度は、分かるのではということです。
日本産科婦人科学会の会告の「体外受精・胚移植」に関する見解では、
「体外受精は、それ以外の医療行為によっては、
妊娠成立の見込みがないと判断されるものを対象とする」としています。

要するに、一般の不妊治療(人工授精まで)から、
体外受精や顕微授精のような高度な治療へ、
“安易な”ステップアップを戒めているのです。

それほどに、高度な治療は、 それまでの一般の不妊治療に比べて、
カラダに大きな負担をかけ、リスクのレベルも高くなるのです。

また、経済的な負担も半端なものではありません。

体外受精を受ける人の数が増えてたからと言って、
それらのリスクが、決して、ゼロになったり、 低下したことにはなりません。
皆で受ければ、怖くない、なんてことは有り得ないのです。

このようなことを踏まえた上で、数字をチェックしてみましょう。

例えば、北海道のKレディースクリニックでは、
初診患者数が、887人に対して、 人工授精の実施数が、2020件、
体外受精が、1218件です。
茨城県のI産婦人科では、 初診患者数が、700人に対して、
人工授精の実施数が、603件、体外受精が、167件です。
極端なところでは、 東京のKレディスクリニックでは、
初診患者数が、3275人に対して、 人工授精の実施数が、121件、
体外受精が、6977件です。
愛知県のSウィメンズクリニックでは、 初診患者数が、741人に対して、
人工授精の実施数が、429件、体外受精が、180件です。

いかがでしょうか?

高度な治療へステップアップする“判断”基準には、
クリニックや医師によって、かなりの開きがあることが、一目瞭然です。

これ、とっても大切だと思います。

なぜなら、誰だって、早く妊娠したいのは山々です。

ただし、出来るだけ、自然な方法で、
要するに、カラダに負担のかからない、コストの低い治療で、
妊娠したいというのもまた、人情というか、切実な事情でもあります。

ただし、もう、体外受精や顕微授精などの、
高度な不妊治療でしか妊娠出来ないことが分かっていて、
その治療を受ける施設をさがしているカップルにとっては、
どんな施設が相応しいのか、言わずもがな、ですね。

施設側が、得意とするもの、或いは、提供しようとするものと、
患者側が、求めるものがずれていれば、ある意味、“悲劇”です。

いかがでしょうか?

あなたにとっての、不妊治療の“いい病院”とは、どんな病院でしょうか。

 
     
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